[I-S01-02] Post RAISE; それでも残る重症対策
Keywords:川崎病, 急性期治療, ステロイド
【背景】ランダム化比較試験であるRAISE Studyによって,免疫グロブリン(IVIG)不応予測例に対するプレドニゾロン(PSL)初期併用の有効性が示された.我々は外的妥当性をより多数例で検証する目的で多施設共同前向きコホート研究(Post RAISE)を行った.【方法】地域中核病院34施設による多施設共同研究体制で,2012年7月から2015年6月まで前向きコホート研究を行った.小林スコア5点以上のIVIG不応予測例に対するPSL初期併用の有無は各施設の方針で予め決定し,前向きにデータを収集した.主要評価項目は治療1か月後の冠動脈病変(CAA)合併率で,副次評価項目は初回治療の反応性である.データは研究者とは独立してデータマネージャーが管理した.(UMIN000007133)【結果】3年間で登録された2628例を対象とした.小林スコア5点以上のIVIG不応予測例724例がIVIG+PSL併用で加療された.不応例132例(18%; 95%信頼区間 16–21%),CAA 26例(冠動脈内径の実測値の基準4%; 3.5–4.2%),40例(Zスコア2.5以上6%; 5.5–6.3%)の結果だった.多変量ロジスティック回帰分析では,IVIG+PSL不応例(オッズ比7.1, 95%信頼区間 3.4–14.9),治療前冠動脈Zスコア2.5以上の拡大(3.4, 1.4–7.8),1歳未満(3.0, 1.4–6.5)の3項目がCAAの独立したリスク因子であった.冠動脈Zスコアの推移をみると,不応例は反応例に比べ経時的に拡大しCAA形成に至っているのに対し,治療前拡大群は経時的に縮小していたが正常範囲まで退縮せずCAAが残存していた.【結語】IVIG+PSL併用療法をより多数例で検討した結果,RAISE Study (不応例13%,CAA:冠動脈内径実測値の基準 3%) とほぼ同等の治療成績と考えられた.不応例,治療前冠動脈拡大,1歳未満はCAA形成のリスクが高く,対策を要すると考えられた.我々はIVIG+PSL不応予測例にメチルプレドニゾロンパルス(IVMP)を併用する治療プロトコールを加え,28施設の共同研究体制で2016年10月から前向きコホート研究(PEACOCK)を開始した.