第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム1(I-S01)
川崎病:急性期治療から遠隔予後解明にむけた連携

2019年6月27日(木) 14:50 〜 16:20 第1会場 (特別会議場)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部 小児科学系小児科学分野)
座長:深澤 隆治(日本医科大学 小児科)

[I-S01-03] 川崎病治療の新しい選択肢シクロスポリン

濱田 洋通1,2 (1.東京女子医科大学八千代医療センター 小児科, 2.KAICA trial investigators)

キーワード:川崎病, 免疫抑制剤, 冠動脈病変

KAICA trial investigators(全著者)

濱田 洋通(千葉大学、東京女子医科大学八千代医療センター小児科)
鈴木 啓之(和歌山県立医科大学小児科)
尾内 善広(千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学)
江畑 亮太(千葉大学医学部附属病院小児科)
寺井 勝(東京女子医科大学八千代医療センター小児科)
布施 茂登(NTT札幌病院小児科)
岡嶋 良知 (千葉県循環器病センター小児科)
黒飛 俊二(オリオノクリニック)
平井 克樹(熊本赤十字病院小児科)
曽我 恭司(昭和大学横浜北部病院小児科)
石口 由希子(広島市立広島市民病院小児循環器科)
大熊 喜彰(国立国際医療研究センター病院小児科)
高田 展行(国保君津中央病院小児科)
柳井 雅明(熊本市医師会熊本地域医療センター小児科)
佐藤 純一(船橋市立医療センター小児科)
中矢 代真美(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児循環器科)
鮎澤 衛(日本大学医学部附属板橋病院小児科)
山本 英一(愛媛県立中央病院小児科)
野村 裕一(鹿児島市立病院小児科)
橋村 裕也(社会医療法人 愛仁会 高槻病院小児科)
尾内 一信(川崎医科大学附属病院小児科)
益田 博司(国立成育医療センター総合診療部)
高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院小児科)
廣野 恵一(富山大学附属病院小児科)
有賀 正(北海道大学病院小児科)
檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科地域小児・周産期学)
大月 哲夫(小松市民病院)
寺内 萌(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
青柳 玲子(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
佐藤 喬俊(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
藤居 靖久(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
藤原 忠美(千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
花岡 英紀 (千葉大学医学部附属病院臨床試験部)
羽田 明(千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学)
川崎病の発症関連遺伝子の探索から細胞内での炎症活性化に関与するカルシニューリンNFAT 経路の調節がその発症や経過に関与することが明らかにされ、インヒビターであるシクロスポリン(CsA)の治療薬としての可能性が示唆された。CsAの川崎病に対する治療薬開発をめざしたKAICA trial (JMA-IIA00174)はそのphase3試験である。小林スコア5点以上の初回免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応リスクの高い児を対象とし、経口CsA 5mg/kg/日を5日間IVIGに併用する群(CsA群:86例)とIVIG2g/kg+アスピリン30mg/kg/日のみの群(IVIG群:87例)にランダム割り付けし、比較試験を行った。主評価項目は治療開始後12週間の冠動脈病変(CAA)有病率とし、臨床情報をブラインドとした小児循環器専門医3名が独立して判定、定義は日本基準を用いた。副次評価項目は4週後の冠動脈病変有病率、Z スコア、解熱するまでの日数、初期治療不応割合、関連遺伝子変異の分布等とした。安全性評価項目はすべての有害事象を対象とした。本試験は2014/4に登録、5月から組み入れ開始、2016/9に目標172例を達成、2017/4にデータを固定した。主評価項目であるCAA有病率はCsA群で有意に低く(14% vs 31%, risk ratio 0.46; 95%CI 0.25-0.86, p=0.010)、副次評価項目である解熱するまでの日数、初期治療不応割合で有意に良好な結果が得られた。安全性について両群に差はなかった。現在、薬事承認申請中である。
承認前である現在まで、東京女子医大八千代医療センターで2回のIVIG治療の不応例に対して3rd lineでCsAを使用する統一プロトコールで治療した8年間643名の単施設後方視的観察研究の結果をあわせて紹介する。