[II-CBCJS-01] 心筋生検 overview ~見えないものまで見る~
Keywords:心内膜心筋生検, 心筋症, 心筋炎
心内膜心筋生検(endomyocardial biopsy:EMB)は,心臓超音波検査,CT,MRIおよびPET-CTなどの核医学検査による画像診断が発展した現在においても心筋症・心筋炎をはじめとした心疾患の診断に有用な検査である.一方で,EMBによる組織診断から確定診断に直結する症例は10~20%程度とされており,致死的合併症のリスク(心穿孔0.1~0.4%など)も考慮すると,適応を十分に検討する必要がある.
2007年にAHA/ACC/ESC合同で発表された心疾患におけるEMBの役割についての声明に最新の知見と自験例を加えて,心筋症・心筋炎診断におけるEMBの有用性を以下に焦点を当てて概説する.
1. 肥大型心筋症類縁疾患の診断:トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するタファミジスの適応拡大により成人例ではEMBの重要性が再認識されている.肥大型心筋症類縁疾患の診断では,臨床情報,画像診断,遺伝子検査および病理組織学的所見を用いて包括的に診断することが重要であるが,電子顕微鏡を用いた超微形態観察を併せて行うことにより光学顕微鏡所見では見えない決定的な証拠を捉えることが可能である.X連鎖性遺伝形式をとる疾患(ファブリー病など)の女性例では臨床的非典型例が多いことから,積極的にEMBを考慮すべきである.
2. 急性・劇症型心筋炎の病型診断:急性期のEMBによる迅速診断は,速やかな浸潤細胞の同定を可能にし,免疫抑制療法の選択・継続の指針となる.
3. 臨床的に拡張型心筋症の診断に至った症例の予後予測:サルコイドーシスや慢性心筋炎などの診断および除外に加え,電子顕微鏡学的所見(筋原繊維の変性,核の形態異常)や免疫染色を用いた予後推定の試みがなされており,拡張型心筋症におけるEMBの意義が変化しつつある.
2007年にAHA/ACC/ESC合同で発表された心疾患におけるEMBの役割についての声明に最新の知見と自験例を加えて,心筋症・心筋炎診断におけるEMBの有用性を以下に焦点を当てて概説する.
1. 肥大型心筋症類縁疾患の診断:トランスサイレチン型心アミロイドーシスに対するタファミジスの適応拡大により成人例ではEMBの重要性が再認識されている.肥大型心筋症類縁疾患の診断では,臨床情報,画像診断,遺伝子検査および病理組織学的所見を用いて包括的に診断することが重要であるが,電子顕微鏡を用いた超微形態観察を併せて行うことにより光学顕微鏡所見では見えない決定的な証拠を捉えることが可能である.X連鎖性遺伝形式をとる疾患(ファブリー病など)の女性例では臨床的非典型例が多いことから,積極的にEMBを考慮すべきである.
2. 急性・劇症型心筋炎の病型診断:急性期のEMBによる迅速診断は,速やかな浸潤細胞の同定を可能にし,免疫抑制療法の選択・継続の指針となる.
3. 臨床的に拡張型心筋症の診断に至った症例の予後予測:サルコイドーシスや慢性心筋炎などの診断および除外に加え,電子顕微鏡学的所見(筋原繊維の変性,核の形態異常)や免疫染色を用いた予後推定の試みがなされており,拡張型心筋症におけるEMBの意義が変化しつつある.