[II-JCCJS-04] 先天性心疾患周術期の不整脈に対するIII群抗不整脈剤の効果
キーワード:無+C109, アミオダロン, ニフェカラント
【はじめに】CHD周術期の頻脈性不整脈は血行動態の破綻をきたしやすく、特にFontan術後例などでは上室性不整脈でさえ致死的になりうる。それゆえ、Amiodarone(AMD)、Nifekalant(NIF)などのIII群抗不整脈薬を用いることも少なくない。AMDの有効性については知られているが、低血圧・徐脈などの副作用を起こしうる。NIFの有効性の報告はあるが小児では限られている。そこで我々は2007年4月から現在までにCHD周術期のAMD・NIFの効果を調査するため、診療録を後方視的に検討した。【対象】対象は83例(男:女=45:38、平均年齢10.8)。JET31 例、AT16 例、PAC8 例、VT/Vf7 例、SVT5 例、その他16 例であった。CHDはSingle ventricule16 例、TOF13 例、HLHS 9 例、VSD9 例、AVSD6 例、DORV5 例、TAPVC 4 例、ccTGA4 例、その他17 例であった。【結果】初回AMDを投与したのは33例、NIFを投与したのは50例で、効果ありと判定したのはAMD28例、NIFは40例であった。Pacing併用例は59%であった。遠隔期を含め、AMD・NIFに関連する死亡例はなかった。【考察】AMD・NIFともに当施設においてはCHD周術期の頻拍発作に対し有効であった。AMDはボーラス投与時に低血圧、徐脈が起こりやすい傾向にあった。NIFはTorsade de pointesの懸念はあるが、今回の検討では認めなかった。成人領域ではAMDとNIFの使用による生存率は変わらない。【結語】CHD周術期の頻拍発作に対してIII群抗不整脈薬は有効である。III群抗不整脈薬を使用する際には、Sinus rhythmに復帰するまでAAI pacingを行うことで血行動態への影響を最小限にできる。