[II-OR20-02] RYR2変異 (R169Q)を有し左室心筋緻密化障害とカテコラミン誘発性多型心室頻拍の共表現型を呈した3例
Keywords:CPVT, LVNC, RYR2
【はじめに】カテコラミン誘発性多型心室頻拍(CPVT)にみられる特徴的な心室性不整脈と左室心筋緻密化障害(LVNC)の両者の特徴を示した3女児(非血縁関係)に、リアノジン受容体タイプ2遺伝子(RYR2)の同一変異(R169Q)が検出された。その機能解析と合わせて報告する。機能解析をHEK293 cellで、single-cell Ca2+ imagingと[3H]Ryanodine binding analysisで行った。【症例1】5歳。運動中に失神し、てんかんと診断された。2か月後、心停止のため蘇生を要し、心室細動(VF)や特徴的な二方向性心室頻拍(VT)が記録された。運動負荷試験で多形性心室期外収縮、二方向性VTが誘発された。心エコーでLVNCと診断された。flecainideとcarvedilolが開始され、ICDが導入されたが作動なく経過している。【症例2】6歳。突然死の家族歴あり。運動中に失神し、運動負荷試験で多形性VTが誘発された。Propranololが開始され、失神の再発はなく、運動負荷試験でも不整脈は誘発されなくなった。21歳時の心エコーでLVNCと診断された。【症例3】7歳。2回の失神歴があり、てんかんと診断されていた。8歳で心停止となり蘇生が行われた。二方向性VTやVFが確認され、心エコーでLVNCと診断された。Carvedilolとflecainideが開始され心室不整脈はみられなくなった。中枢神経後遺症を考慮しICDではなく自宅にAEDが設置された。【機能解析】RYR2-R169Q変異により、細胞内Ca2+振動の頻度増加と小胞体におけるCa2+誘発性Ca2+放出(CICR)閾値の低下が確認され、gain-of-functionを呈していた。【まとめ】CPVTとLVNCの共表現型の原因は明らかではないが、3例に同一変異がみられたことは興味深い。心室機能が保たれているLVNC患者においても、RYR2に関連した致死性不整脈のスクリーニングが勧められる。