[II-OR24-05] フォンタン術後症例における肺循環の心周期変化
Keywords:フォンタン術後, 心周期, 肺循環
【目的】フォンタン術後症例において肺循環の心周期変化を検討する。【対象と方法】対象は定期的観察中のフォンタン術後症例34例。疾患は無脾・多脾症候群12例、両大血管右室起始6例、各種疾患に伴う心室容積不均衡6例、単心室症3例、大血管転位症2例、左心低形成症候群2例、三尖弁閉鎖症2例、エプスタイン奇形1例で、年齢は2歳3ヶ月から48歳(平均19.2±11.5歳)、フォンタン術後7ヶ月から28年(平均13.0±7.0年)であった。34例中、6例が心房・肺動脈吻合、28例がTotal Cavo-Pulmonary Connection(TCPC)、6例にfenestrationがされていた。心エコー検査時の下大静脈、肝静脈、肺静脈ドップラー血流、および心臓カテーテル検査時の肺動脈圧、肺動脈楔入圧、あれば心房(肺静脈)圧などの波形をもとに肺循環の心周期変化を検討した。また、血行動態、修復方法、調律異常などの影響についても検討した。【結果および結論】 心房・肺動脈吻合症例では、心房収縮に伴い体静脈への逆流波を生じ、逆流波の程度は下大静脈や心房の拡大と相関傾向が認められた。体静脈、肺動脈では、吸気時に血流は著明に増高、呼気早期に減高したが、肺静脈血流での呼吸の影響は軽微であった。心エコー図検査の肺静脈血流S波、D波、カテーテル検査の心房圧a波、v波など、肺静脈・心房においてはそれぞれ2峰性を呈していたが、肺動脈、体静脈となるにつれ、2峰性の血流、圧はしだいに融合し、またピークのタイミングは変化していった。フォンタン症例の肺循環は心房拡張や心室Suckingに依存し、それらが伝播することにより圧、血流波形が形成され、呼吸による胸腔内圧の変化によって修飾を受けているものと推測された。