第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療遠隔成績

一般口演25(II-OR25)
外科治療遠隔成績 2

2019年6月28日(金) 17:10 〜 18:00 第5会場 (中ホールB)

座長:圓尾 文子(加古川中央市民病院 心臓血管外科)
座長:西岡 雅彦(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児心臓血管外科)

[II-OR25-02] 完全型房室中隔欠損に対する外科治療の遠隔成績

前田 吉宣, 山岸 正明, 板谷 慶一, 藤田 周平, 本宮 久之, 高柳 佑士, 中辻 拡興, 夫 悠 (京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科)

キーワード:房室中隔欠損, 遠隔成績, 房室弁

【目的】完全型房室中隔欠損(cAVSD)の治療成績は近年安定しているものの,遠隔期の房室弁機能不全による再手術介入が問題となる.我々は原則として乳児期早期にtwo patch法による一期的根治術を行っているが,その手術成績について特に房室弁機能に注目して検討した.【対象と方法】1998年3月-2018年12月に二心室修復術を行ったcAVSD 45例を対象とした(TOF/DORV合併例やintermediate type症例は除外).21 trisomy合併を34例,PS(RVOTS)合併を5例,左側房室弁のstraddlingを1例に認めた.Rastelli分類はA型34例,B型2例,C型9例.根治術時年齢は2ヶ月-1歳8ヶ月(中央値5ヶ月),手術時体重は3.2-8.8kg(中央値4.8kg).体重3kg未満,心外奇形や気道狭窄の合併などにより肺動脈絞扼術を先行した症例は8例(うち3例は他院にて施行).弁逆流はエコー計測でnone:0,trivial:0.5,mild:1,moderate:2,severe:3とスコア化し,手術成績および術後早期/遠隔期の弁機能を中心に後方視的検討を行った.【術式】two patch法を基本とし一次口欠損閉鎖には新鮮自己心膜パッチを用いて左脚および房室結節付近は共通後尖の一部を縫合線とし,冠静脈洞は右房側へ開口させている.原則cleft閉鎖を行い,必要に応じて左側房室弁の交連部縫縮を追加している. 【結果】手術死亡,遠隔死亡なし.術後房室ブロック症例なし.人工心肺時間は中央値167分,大動脈遮断時間は中央値110分.観察期間中(0.1-18.7年,中央値7.9年)に再手術を2例(0.9%)に認めた.術後早期→遠隔期でMRスコア1.1±0.7→1.3±0.7,TRスコア0.8±0.7→0.9±0.5で有意な増悪なし.遠隔期におけるTMFのpeak velocity 1.2±0.3m/s, E/A 1.8±0.6.再手術2例はcleft閉鎖部離開により逆流増悪を認め術後11日目,1.5年目に左側房室弁形成術を施行した.【考察】cAVSDの術後遠隔期成績は概ね良好であった.two patch法による房室弁機能温存は有効であるがcleft閉鎖の際にはMSに留意しつつ確実な縫合が重要である.