[II-P40-05] 大動脈離断症の左室流出路狭窄に対する二心室修復適応
Keywords:大動脈弓離断症, 左室流出路狭窄, 術後合併症
【背景】大動脈弓離断症(IAA)に対するbiventricular repair(BVR)の適否を決定するためには, 左室流出路狭窄(LVOTS)の評価が重要である. 当院では大動脈弁(Av)径が, tricuspid Avでは{体重(kg)+1}mm・bicuspidでは{体重+2}mm以上である事をBVRの目安としている.【目的】上記により算出された値(LVOTS Score: LS)を目安にした方針の妥当性を検証すること。【方法】2008/1月~2018/12月までに出生したIAA VSDで, 左室低形成(LVEDD又は僧帽弁輪径が80% of Normal未満)例を除く30例(男14, 女16)を, BVR術後LVOTS(心エコーで流速2.5m/s以上)の合併が無いA群, LVOTSを合併したB群, Norwood実施(或は待機)したN群に分類し, 主に A弁輪・A弁下最狭部とLSの比率を比較検討した.【結果】A群18例, B群7例, N群5例であった. 27例が生存しており, 死亡3例はいずれもN群に該当した. N群の生存2例は段階的に根治術(Yasui手術)に到達した. B群において弁性の狭窄を来した例は認めず, いずれも弁下狭窄が主体であった. 内3例で外科的介入(弁下組織切除)を行い, 他4例は経過観察中である. A弁輪/LSはA群 中央値1.24(0.95~1.56), B群 中央値1.07(0.91~1.34)であり, 両群共に0.90未満は認めなかった. N群は中央値0.85(0.75~1.67)であった. 弁下最狭部/LSはA群 中央値1.18(0.80~1.82)で0.90未満は1例(0.80)のみであった. B群は中央値0.93(0.72~1.29)で, 0.90未満が3例あった. 1.0以上の2例は明らかな大動脈の後方偏位を認めた. N群は中央値0.77(0.48~0.97)であった.【結論】A弁輪/LS≧0.90でBVR後に弁性の狭窄を来す例は認めなかった. 一方で弁下最狭部/LS≧0.90であっても術後弁下狭窄が進行する症例が存在し, 特に大動脈の後方偏位を認める例は注意が必要と考えられた. 左室低形成がなくLSをみたせばBVR可能である.