第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

複雑心奇形

ポスターセッション49(II-P49)
複雑心奇形 2

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:葭葉 茂樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

[II-P49-05] 動脈スイッチ術後に予期せぬ僧帽弁狭窄となり, 僧帽弁置換術によって救命し得たTaussig Bing 奇形の1例

松岡 良平1, 宗内 淳1, 藤井 俊輔1, 川口 直樹1, 杉谷 雄一郎1, 渡邉 まみ江1, 中田 悠介2, 安東 勇介2, 落合 由恵2 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 心臓血管外科)

Keywords:Taussig Bing, 僧帽弁置換術, 僧帽弁狭窄症

【背景】Taussig-Bing奇形は房室弁異常の合併もしばしば経験される。術前全く解剖学的僧帽弁異常を認めなかったのにも関わらず、機能的僧帽弁狭窄(MS)を来した症例を経験した。【症例】在胎40週2日、出生体重 3912g。心臓超音波検査でTaussig-Bing奇形と診断。日齢17に心房中隔裂開術、日齢25に肺動脈絞扼術(左側開胸)を実施。徐々にSpO2が低下(=70%)し、月齢8に心臓カテーテル検査実施。肺動脈圧=44/27(33)mmHg、左肺動脈圧=65/25(44)mmHg、右室圧=85/5mmHg、平均右房圧=2mmHg、平均左房圧=5mmHg、Qp/Qs=2.3、左室拡張末期容積(LVEDV)=26.4ml(201%対正常)、僧帽弁輪径(MVA)=22.4mm(156%対正常)。左室乳頭筋や腱索の異常なし。1歳(体重7.2kg)時に動脈スイッチおよび心室内rerouting手術実施。人工心肺離脱後よりピンク色泡沫状痰が多量に回収され換気量が低下し、術直後に肺水腫・肺出血から呼吸循環不全となり、緊急ECMO導入。ECMO離脱困難となった。血行動態評価のため術後9日目に心臓カテーテル検査実施。主肺動脈圧=30/22(26)mmHg、右室圧=32/6mmHg、左室圧=82/6mmHg、平均左肺動脈楔入圧=12mmHg、平均左房圧=16mmHgだった。ECMOの補助流量を低下させると左房圧=23mmHgに上昇し、左室圧=44/3mmHgと左室拡張末期圧の上昇はなかった。LVEDV=10.7ml(63%対正常)、MVA=12.1mm(78%対正常)で、経食道心エコーでも僧帽弁開放制限があり、MS合併と診断し、翌日に僧帽弁置換術(ATSM360 16mm)実施。僧帽弁置換術後11日目にECMO離脱。1歳2か月に心臓カテーテル検査を行い、左室圧=85/11mmHg、平均左肺動脈楔入圧=11mmHg、LVEDV=33.1ml(211%体正常)とMS解除を確認。乳び胸合併のため長期利尿剤投与したが、1歳4か月に退院。【考察】予期せぬ術後MS合併によりECMO離脱困難となった。急激な左室容量減少により僧帽弁開放が制限されたのではないかと推察した。