第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション53(II-P53)
電気生理学・不整脈 5

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:立野 滋(千葉県循環器病センター 小児科)

[II-P53-01] 心室中隔欠損症における肺高血圧評価への導出18誘導心電図の応用

垣本 信幸, 土橋 智弥, 末永 智浩, 武内 崇, 鈴木 啓之 (和歌山県立医科大学 小児科)

キーワード:導出18誘導心電図, 心室中隔欠損症, 肺高血圧

【背景と目的】心室中隔欠損症(VSD)に肺高血圧症(PH)を伴う場合に、乳児期に修復手術が必要な場合がある。PHでは、心電図検査において高率に右室肥大を認めるが、日常検査で右側胸部誘導心電図検査まで実施することは煩雑である。一方で、近年、標準12誘導心電図をもとに右胸部誘導、背部誘導の波形を演算処理して導出する、導出18誘導心電図が、成人循環器領域で注目されつつある。計測手技自体は標準12誘導心電図検査と同じであるが、より多くの情報を得ることができ、右室梗塞・後壁梗塞の発見に有用であると報告されている。今回、VSDにおけるPHの評価に導出18誘導心電図が応用できないか検討を行った。【対象と方法】2013年5月から2018年5月の間に、当院で導出18誘導心電図検査(心電計ECG-2550、日本光電、東京)と心臓カテーテル検査を実施したVSDの患児で、検査時年齢が生後1か月以上3歳未満の34例を対象とした。導出した右胸部誘導(syn-V3R, syn-V4R, syn-V5R)のR波、T波の振幅を測定し、心臓カテーテル検査で得られた測定値との関係について検討を行った。続いて、導出した右胸部誘導の波形から重度の肺高血圧(肺体血圧比0.6以上)を予測するモデルを作成した。【結果】syn-V5RのT波の振幅と肺体血圧比、肺体血流量比にそれぞれ相関を認めた。(r=0.54, p=0.0009とr=0.56, 0.0005)続いて、続いて、syn-V5RのT波の振幅から重度の肺高血圧を予測するモデルとしてROC曲線を作成(AUC 0.80)しカットオフ値を求めると、syn-V5RのT波 -59μV以上で感度92%、特異度60%で重度の肺高血圧を予測できた。【結論】導出18誘導心電図の右胸部誘導(syn-V5R)のT波の振幅は、VSDの患児で非観血的なPHの評価に有用であることが示唆された。