[II-P55-03] 埼玉医科大学国際医療センターにおける成人先天性心疾患患者の概要と診療体制の検討
キーワード:成人先天性心疾患, 成人期医療, 遠隔期続発症
【背景】成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease: ACHD)患者の高齢化に伴い術後遠隔期まで視野に入れたフォローアップの重要性が増している。しかしながら、移行医療や成人期医療の診療体制が整備されている医療機関は少なく、その体制には地域差も大きい。当院は埼玉西部の広い医療圏を担う専門病院であり、「成人先天性心疾患センター」では小児心臓科・小児心臓外科・心臓内科・心臓血管外科等が連携し集学的な診療を実践している。【目的】当院ACHD患者の全体像をまとめ、今後の当院のACHD成人期医療体制を検討する。【方法】当院外来診療中の約400例(2019年1月現在)のACHD患者(>15歳)の患者像、主診療科等について集計した。【結果】当院外来のACHD患者は2019年1月の時点で約400例であり、男性37%、女性63%であった。平均年齢は35歳(16~84歳)であり、40歳以上は25%、65歳以上は7%であった。疾患としては、心房中隔欠損症が32%、心室中隔欠損症が23%、ファロー四徴症が9%、動脈管開存が5%、その他の複雑心奇形症例が29%であった。主担当科は小児心臓科88%、心臓内科7%、小児心臓外科5%であった。全体の80%以上が術後患者であったが、成人期に術後遠隔期続発症を呈し心臓内科に入院、小児心臓科や小児心臓外科と綿密に議論を重ね、再手術を行った症例も複数いた。【考察】当院ACHD患者の全体像から高齢者を含む多くのACHD患者が診療されている現状が把握できた。症例の中には移行医療が必要な時点でフォローアップ中断となり、術後遠隔期の病態評価が不十分になり、長期の右心不全から不良な転帰となった症例もみられ、ACHDの移行期~成人期診療において各診療科間、地域医療を含めた医療機関間での綿密に連携可能な体制作りが重要であると考えられた。