第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション65(II-P65)
外科治療 5

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:帯刀 英樹(九州大学 心臓血管外科)

[II-P65-04] 新生児期に側開胸大動脈再建(EAAA)を施行した大動脈縮窄/離断症の検討

黄 義浩, 野村 耕司, 高木 智充, 石割 圭一 (埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

キーワード:新生児, EAAA, CoA/IAA

【目的】大動脈縮窄/離断症(CoA/IAA)の多くは新生児期に手術介入を要するが、未だ術式選択の見解は施設間で異なる。当院では新生児期人工心肺回避のため、側開胸大動脈再建も選択肢の一つとしているが、遮断部位や再建時間の制限からreCoAのリスクが懸念される。今回、新生児期の側開胸EAAA施行例におけるreCoA危険因子と予後の検討を行った。【対象及び方法】対象は側開胸EAAAを施行した35例で内7例はIAA(type A)、日齢13±7日、体重3±0.5kg。合併心疾患はVSD21例、AVSD4例、他5例で単心室治療症例は3例、PAB併施は21例。reCoAの指標としてUCGで再建部流速を術直後、1、6、12、24、36ヶ月以降に計測し、Arch形態、吻合部位、PAB有無、日齢、体重、血管径との関連及び中遠隔期予後につき検討した。Arch形態はIAA type、BCA後が長いCA type、CA後が長いSCA type、SCA後が長いIsthmus type、均等なBalance type、また吻合部位はBCA下、CA下、SCA下に分類した。【結果】手術死亡なし。遠隔期死亡5例。気道狭窄1例、Recoarctectomy1例、経皮的バルーン形成6例。下肢遮断29±8分。再建部流速(m/s)は術直後2.5±0.7、1ヶ月2.7±0.7、6ヶ月:2.6±0.6、12ヶ月:2.3±0.6、36ヶ月以降:2.4±0.5。Arch形態ではSCA及びIsthmus typeが術直後2.7±0.7、2.9±0.4と高値、IAA typeは術直後2.3±0.5で1、6ヶ月後に3.1±0.6、3.1±0.3とreCoA顕在化を認めた。吻合部位別では術直後2.4~2.6、遠隔期2.2~2.6、またPAB有無では術直後2.6/2.3、遠隔期2.4/2.4と有意差を認めなかった。reCoAの相関は体重で弱い相関(R=0.29)、血管径でArch径及び吻合距離との相関(R=0.43、0.44)、Asc.Ao径で弱い相関(R=0.36)を認めた。【結論】当院での新生児期側開胸EAAAの成績は概ね良好で、遠隔期には多くがreCoAの改善を得た。一方Arch形態によっては術後早期にreCoAの顕在化を認める症例もあり、特にArch径や吻合距離によっては術式再考も必要と思われた。