第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション71(II-P71)
その他 2

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:東 浩二(千葉県こども病院 循環器内科)

[II-P71-03] 右室低形成を合併した動脈管早期収縮の新生児例

中嶋 滋記1, 安田 謙二1, 中田 朋宏2, 城 麻衣子2 (1.島根大学医学部 小児科, 2.島根大学医学部 心臓血管外科)

キーワード:動脈管早期収縮, 右室低形成, 肺動脈狭窄

【はじめに】動脈管早期収縮では、右室圧上昇に基づく右室肥大に加え、三尖弁逆流や収縮不全などにより右室拡大をきたすことが一般的とされている。【症例】在胎36週3日、出生時体重2904g、アプガースコア 8/8で出生の男児【周産期歴】自然妊娠、母体妊娠高血圧症候群あり。胎児心奇形は指摘されず。【現病歴】胎児除脈のため、前医で緊急帝王切開で出生した。第一啼泣はあったが、呻吟・多呼吸を認め、酸素投与/陽圧換気でもSpO2 80%までしか上昇せず。集中管理が必要と考え、当院に新生児搬送となった。【経過】出生直後の心エコー所見は、hypo RV, hypo PA, VSDpm-inlet extension, PFOの診断でPDAはすでに確認できず、著明な右室壁肥大も認めた。心房間・心室関短絡ともに右左短絡であり、PPHNの合併もありと判断し、深鎮静人工呼吸器管理、NO、volume投与などで急性期管理を行った。この状況下でもSpO2 80%台半ば/PaO2 40mmHg程度であり、数日間酸素化が不安定であった。日齢とともにPHは改善し、酸素化維持が容易となり、日齢8にNO中止、日齢11に呼吸器離脱でき、シルデナフィル内服+在宅酸素を導入し日齢31に退院した。心エコーの経過は、VSDは日齢2に左右短絡となり、PFOはしばらく右左短絡であったが、生後2ヶ月で左右短絡優位となった。VSDは中短絡程度、hypo PAによるPSが適度にあり、現在はVSD,PSの血行動態となっている。右室サイズは徐々に大きくなってきているが、まだ小さめであり、今後の経過を厳重に追っていき、治療方針を検討する必要がある。【まとめ】動脈管早期収縮に右室低形成を合併する報告は、調べる範囲ではまだない。本児の場合、VSDが開いていたことにより、致命的な状況を免れたこと、PDA閉鎖の状態である程度長期間胎内で過ごしていたことにより、右室低形成・肺動脈低形成を合併したものと考えられた。