[II-P72-02] 脳室内出血を伴った極低出生体重児における三次元心臓超音波検査によるEesとEaの検討
キーワード:極低出生体重児, 脳室内出血, 左心機能
【背景】極低出生体重児(VLBWI)において出生後早期に左室の後負荷の指標である左室収縮末期壁応力(WS)の上昇とそれに伴う脳室内出血(IVH)の関連について報告され、その管理は臨床に応用されてきている。WSは出生後早期の肺高血圧を伴った変形した左室に適応するには理論上の欠陥があるとされている。そこで、われわれは変形した左室でも左室容量の計測が可能な3D左室容積解析によりTanoueらの方法をもちいて左室後負荷、収縮能の検討を行ってきた。今回、IVHをきたした群ときたさなかった群との間で3D左室容積によるEes, Eaの比較検討を行ったので報告する。【対象】2012年10月から2018年8月までに当院NICUに入院したVLBWIのうち3D解析を行えた児。IVHをきたさなかったC群36名(出生体重(g) 中央値1201.5,1486~644)(在胎週数 中央値30週1日,35週5日~25週6日)とIVHをきたしたI群12名(出生体重(g) 中央値919,1358~473)(在胎週数 中央値28週3日,33週0日~23週1日)【方法】Philips iE33を使用し、off-lineでQLABの3DQ Advanceにて、拡張末期左室容積と、収縮末期左室容積を計測した。Tanoueらの方法を用いて、 Ees、Ea、Ees/Ea、ratio of Stroke work and pressure-volume area(SW/PVA)を計算した。左室容積は体表面期で除して、補正した。これらの値を出生後12時間、24時間、48時間、96時間に測定した。【結果】観測期間中のEa, EesにC群とI群間における有意差は認められなかった。ただ、C群においてEes(mmHg/ml)は出生後12時間と96時間の間に有意な増加を認めた。(生後12時間 6.8± 2.1、生後96時間 7.9± 2.8, p<0.05)【結語】今回脳室内出血をきたした群はIII度以上の脳出血をきたしたものが含まれておらず軽症の脳室内出血症例をみているためか群間の有意差を認めなかった。しかし、対象群では経時的に有意にEesの改善をみとめており、IVH群では収縮能の改善が認められない傾向があるのではないかと考えられた。