第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

心臓血管機能

ポスターセッション72(II-P72)
心臓血管機能 3

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:豊野 学朋(秋田大学大学院医学系研究科機能展開医学系 小児科学講座)

[II-P72-04] 小児における脈圧増幅の検討 (中心脈圧と末梢脈圧の比較)

白石 真大, 村上 智明, 大森 紹玄, 東 浩二, 中島 弘道 (千葉県こども病院 循環器内科)

キーワード:脈圧増幅, 中心血圧, 小児

【目的】脈圧増幅は上行大動脈に比して末梢動脈における脈圧が大きくなる現象で圧反射に起因する。成人では加齢と共に脈圧増幅は小さくなり、脈圧増幅低下は全死亡、心血管病死亡と関連することが知られている。我々は小児では年齢と共に脈圧増幅が大きくなること及び大動脈修復術後で脈圧増幅は減少することを報告した(これらは上行大動脈と下行大動脈での脈圧増幅を検討)。今回我々は小児における中心脈圧(上行大動脈における脈圧)と末梢脈圧(上腕動脈における脈圧)との脈圧増幅について検討した。【方法】対象は当院でカテーテル検査を施行した体重が10kg以上の症例33人。カテーテルで上行大動脈圧を測定時にoscillometric法で上腕血圧を測定した。カテーテルで得られた中心脈圧とoscillometric法で得られた末梢脈圧をもとに脈圧増幅の程度を脈圧差(末梢脈圧-中心脈圧)及び脈圧比(末梢脈圧/中心脈圧)で検討した。さらに脈圧増幅に影響を与える因子についても検討を行った。本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得ている。【結果】対象は平均年齢8.7歳、男児15例女児18例、大動脈修復術後の症例および動脈管開存症、大動脈閉鎖不全症、検査時にBT shuntを有する症例は除外した。脈圧差は8.4 ± 8.8 mmHgで体重(r=0.35, p=0.049)およびbody surface area (BSA) (r=0.45, p=0.009)と正の相関を示し、男女差を認めた(女11.4±7.5 mmHg vs. 男 4.8±9.1 mmHg, p=0.030, 男女間で体重およびBSAに差は認めなかった)。年齢及び身長は脈圧差と有意な相関を示さなかった。脈圧比は1.26 ± 0.26でBSA(r=0.40, p=0.021)と正の相関を示した。性別、年齢、身長及び体重は脈圧比と有意な相関を示さなかった。【結論】小児においても上行大動脈と上腕動脈の間に脈圧増幅は認められると考えられた。小児においては脈圧増幅は体格(BSA)による影響が強く、体格が大きくなるほど脈圧増幅は大きくなることが示唆された。