[II-PD05-03] 先天性心疾患におけるMICSは可能か―心房中隔欠損閉鎖術に見る術式別検討―
キーワード:心房中隔欠損症, MICS, 右開胸
【背景】我々は心房中隔欠損症(ASD)に対し、審美性の面から女児に対し右開胸アプローチによる閉鎖術を行ってきた。更に2011年以降は躯幹筋を温存した小開胸手術を導入している。
【目的】同一術者によるASD閉鎖術における術式別の手術、人工心肺、心停止時間(正中は大動脈遮断、右開胸は電気的細動)、輸血の有無、合併症を比較検討する。
【結果】2005年8月から2019年1月までの同一術者が行ったASD症例60例を、アプローチ別に正中(S群)15例、右開胸(R群)19例、小開胸(M群)26例の3群に分け比較検討した。以下S:R:Mで表記する。年齢は中央値(range)で5.5(0.85~11.3):3.5(1.0~12.9):5.5(1.1~17.3)歳。手術時身長、体重、体表面積はそれぞれ平均で104±26:91±23:109±28(cm)、18.0±9.0:14.2±9.4:20.5±14.2(kg)、0.71±0.24:0.59±0.26:0.76±0.34(m2)でS-R群間、M-S群間では有意な差はなかったが、R-M群間の身長でM群が有意に大きかった(p=0.025)。手術、人工心肺、心停止の各時間はそれぞれ、139±26:174±34:234±50(分)、44±14:47±10:78±41(分)、19±7:24±7:37±22(分)と手術時間は各群間で有意差があり、人工心肺および心停止時間はS-R群間のみ有意差がなかった。R-M群間では体格によるバイアスがあるため、体格の大きな外れ値を除外して再検討を行ったが、同様に全ての時間でM群が有意に長かった。輸血はM群で3例に要したが、この3例は体重が6~7kg台で、人工心肺装着後すでにヘマトクリット値が20%程度まで低下した症例であった。術後合併症はS群で、心嚢ドレナージ1例、縦郭炎1例、R群はなし、M群は部分肺静脈還流異常を見逃し、再手術になった症例が1例あった。
【結語】MICSは審美性以外ではすべてのパラメーターで不利である。ASD手術は本来、安全性の高い手術であることから、MICSを行う場合は正中アプローチと同等のクオリティーと安全性が担保されなければならないと考える。
【目的】同一術者によるASD閉鎖術における術式別の手術、人工心肺、心停止時間(正中は大動脈遮断、右開胸は電気的細動)、輸血の有無、合併症を比較検討する。
【結果】2005年8月から2019年1月までの同一術者が行ったASD症例60例を、アプローチ別に正中(S群)15例、右開胸(R群)19例、小開胸(M群)26例の3群に分け比較検討した。以下S:R:Mで表記する。年齢は中央値(range)で5.5(0.85~11.3):3.5(1.0~12.9):5.5(1.1~17.3)歳。手術時身長、体重、体表面積はそれぞれ平均で104±26:91±23:109±28(cm)、18.0±9.0:14.2±9.4:20.5±14.2(kg)、0.71±0.24:0.59±0.26:0.76±0.34(m2)でS-R群間、M-S群間では有意な差はなかったが、R-M群間の身長でM群が有意に大きかった(p=0.025)。手術、人工心肺、心停止の各時間はそれぞれ、139±26:174±34:234±50(分)、44±14:47±10:78±41(分)、19±7:24±7:37±22(分)と手術時間は各群間で有意差があり、人工心肺および心停止時間はS-R群間のみ有意差がなかった。R-M群間では体格によるバイアスがあるため、体格の大きな外れ値を除外して再検討を行ったが、同様に全ての時間でM群が有意に長かった。輸血はM群で3例に要したが、この3例は体重が6~7kg台で、人工心肺装着後すでにヘマトクリット値が20%程度まで低下した症例であった。術後合併症はS群で、心嚢ドレナージ1例、縦郭炎1例、R群はなし、M群は部分肺静脈還流異常を見逃し、再手術になった症例が1例あった。
【結語】MICSは審美性以外ではすべてのパラメーターで不利である。ASD手術は本来、安全性の高い手術であることから、MICSを行う場合は正中アプローチと同等のクオリティーと安全性が担保されなければならないと考える。