第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長賞選別講演(ポスター)

会長賞選別講演(ポスター)(II-PPAL)

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部 小児科学系小児科学分野)

[II-PPAL-04] 川崎病後冠動脈障害におけるN-アンモニアPET検査における冠循環の評価

築野 香苗, 渡邉 誠, 松井 亮介, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 阿部 正徳, 赤尾 見春, 大久保 隆志, 上砂 光裕, 勝部 康弘, 深澤 隆治 (日本医科大学付属病院 小児科)

キーワード:川崎病後冠動脈障害, 冠動脈血流予備能(CFR), N-アンモニアPET検査

【背景】川崎病後冠動脈障害(CAL)に対してアデノシン負荷13N-アンモニアPET検査(PET検査)を行うことで冠動脈血流予備能(CFR)の評価が可能となった。【目的】PET検査にてCFRが異常値を呈した冠動脈枝の冠循環の特徴を検討した。【対象・方法】CALに対して、PET検査を施行した28症例のうち75%以上の狭窄を認める枝を除外したLAD22枝、LCX26枝について冠血流量、冠血管抵抗、体表面積と冠血流量の関係、負荷前後の冠血管抵抗比(安静時/負荷時)を算出し、CFR正常群(≧2.0)と異常群(<2.0)に分けて検討を行った。冠血管抵抗の算出には体血圧の拡張期圧を冠動脈圧として代用した。【結果】LADでは正常群18枝、異常群4枝、LCXでは正常群21枝、異常群5枝であった。安静時の冠血流量はLAD、LCX共に正常群と異常群との間に有意差を認めなかったが、アデノシン負荷時により正常群は異常群に比較して冠血流が有意に上昇した(LAD:p=0.0153、LCX:p=0.0318)。異常群ではアデノシン負荷での冠血管抵抗低下は軽度であり、冠血管抵抗比はLAD、LCX共に異常群では正常群と比較して有意に低値であった。(LAD:p=0.0025、LCX:p=0.0048)また安静時においてLAD、LCX共に体表面積と冠血流量、冠血管抵抗との間に有意な相関を認めた。(冠血流;LAD:r2=0.56 , p<0.0001 、LCX:r2=0.69 , p<0.0001、冠血管抵抗;r2=0.70 , p<0.0001 、LCX:r2=0.73 , p<0.0001)【結論】CFR<2.0であるCALにおいては、遠隔期においても末梢循環障害が継続していることが示唆された。また安静時の冠血流量・冠血管抵抗はBSAと相関するためCFRの評価の際には体格も考慮する必要があると思われた。