[II-PPAL-05] 小児・若年者に対する大動脈基部置換術の治療成績
Keywords:大動脈基部置換術, Bentall, David
【背景】遺伝性結合織疾患(Marfan症候群(MFS),Loeys-Dietz症候群(LDS)など)や,conotruncal anomalyによる先天性心疾患(完全大血管転位(TGA),ファロー四徴症(TOF),両大血管右室起始症(DORV)など)では,若年期から大動脈弁輪拡張症(AAE)を伴い,大動脈基部置換術が必要になる症例が散見される.【目的】小児・若年者(30歳以下)における大動脈基部置換術の治療成績を検討する.【対象】2009年6月から2018年12月の間に,結合織疾患あるいは先天性心疾患に関連したAAEに対して当院で大動脈基部置換術を行った12例を後方視的に検討した.平均手術時年齢14.3歳(7-30歳).男性9例,女性3例.原疾患は遺伝性結合織疾患4例(MFS 2例,LDS 2例),大動脈炎症候群2例,先天性心疾患術後6例(TGA/p-ASO 2例,DORV/p-ASO 1例,DORV/p-intraventricular rerouting 1例,DORV/p-TCPC 1例,critical AS /p-CoA repair 1例)であった.【結果】術式はBentall手術が10例,David手術が2例.平均観察期間は4.0年(0.1-9.9年).周術期および遠隔期死亡はなく全例生存であった.術後に外科的再介入を要した症例は4例で,急性大動脈解離が1例(術後5年,LDS),胸腹部大動脈瘤が1例(術後2年,MFS),冠動脈口吻合部仮性瘤が1例(術後1年,大動脈炎症候群),右室瘤・2度房室ブロックが1例(術後1年,DORV/p-TCPC)であった.David手術を行った2例は術後4-5年の段階でARmildであった.【結語】小児・若年期の大動脈基部置換の成績は良好であるが,遺伝性結合織疾患自体に伴う血管合併症には留意していく必要がある.先天性心疾患術後の自己弁はその耐久性について未知であり,自己弁の温存が可能な症例は限定されると考えている.