[II-YB01-01] ECMO装着下での安全かつ効果的な心臓カテーテル治療の可能性
キーワード:ECMO, カテーテル治療, 安全性
【背景・目的】体外式膜型人工肺(ECMO)療法は、呼吸、循環不全に対する緊急一時的な補助として重要であり、当院では2017年にECMOセンターを開設、院内のあらゆる適応疾患に対して迅速・安全な導入が可能となった。先天性心疾患ではほとんどは原因病変があり、早期ECMO離脱へ向け介入を要する場合がある。当院で施行したECMO装着下のカテーテル治療4例について臨床像を後方視的に検討した。【症例1】日齢2、体重2.7kg、I型TGAで、重症PPHNのためVA-ECMOを導入し翌日にstatic BASを行った。2日後に離脱し、その後修復術を受けた。【症例2】日齢3、体重2.2kg、左気管支閉鎖、TOF、TAPVCIb型、PVO症例で、低酸素のためVA-ECMOが導入された。離脱は難しく、valv PSのバルーン拡大、PVOのステント拡大を行った。術中大量肺出血を認めたがバイタル変動はなかった。肺出血改善を待ち5日後に離脱した。【症例3】6か月、体重6.2kg、DCMでVA-ECMO導入したが、肺うっ血進行があり経卵円孔的に左房にPig tailカテを留置脱血した。3日後にCentral ECMOとなり、1か月後に離脱した。【症例4】1歳4か月、体重8.3kg、総動脈幹症でPalliative Rastelli術後に低酸素のためCentral ECMOを導入した。離脱困難であったがLPASをステント拡大し離脱した。【まとめ】様々な適応でカテーテル治療を行った。ECMO導入からカテーテル治療までは平均3.3日後(1~8日)と早く、症例3を除くと平均2.3日(0~5日)と早期に離脱できた。治療時間は平均152分(36分~320分)であったが治療中は安定し、全例で後遺症なく生存している。【考察】ECMOを含む多くの救命装置に接続しており、カテーテル室への安全な移動が注意点であるが、重篤な低体重例やアプローチ困難な複雑心奇形においてもECMO装着下で安全に有効な治療を行うことができる。今後はECMO離脱への積極的介入だけでなく、カテーテル治療のための選択的なECMO導入も検討し得ると考える。