第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演33(III-OR33)
川崎病・冠動脈・血管 4

2019年6月29日(土) 10:40 〜 11:20 第5会場 (中ホールB)

座長:鎌田 政博(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[III-OR33-01] 川崎病初回免疫グロブリン療法(IVIG)不応例の急性期治療経過と冠動脈Zスコアに対するインフリキシマブ療法(IFX)導入の影響

高橋 研斗, 大野 直幹, 井上 智貴, 坂田 瑶子, 光井 康次郎, 中村 祥崇, 小野 佐保子, 加藤 敦, 近藤 英輔, 荻田 聡子, 尾内 一信 (川崎医科大学 小児科学)

キーワード:川崎病, IVIG不応例, インフリキシマブ

【背景】川崎病初回IVIG不応例の急性期治療にIFXが導入され有効性の報告は散見されるが、メチルプレドニゾロンパルス(IVMP)、プレドニゾロン(PSL)、シクロスポリンA(CsA)など既存選択肢にIFXが加わったことによる急性期治療経過や冠動脈Zスコアへの影響は明らかにされていない。【目的】川崎病初回IVIG不応例の急性期治療経過や冠動脈Zスコアに対するIFX導入の影響を検討すること。【方法】対象は2013年1月~2018年9月に当院で加療した川崎病157例のうち初回IVIG(不応リスク例はステロイド併用)が効果なく2ndライン以降の治療介入を行った40例で、IFX導入前(Before群:B群)後(After群:A群)に分け、治療内容、有熱期間、CRP陰性化病日、退院病日、有害事象、冠動脈Zスコア(入院中最大値:pre Max、退院時:Ent、最終外来受診時:Last)、冠動脈病変合併率を比較検討した。【結果】IFX導入前23例(年齢中央値4.2歳:B群)、導入後17例(年齢中央値3.3歳:A群)。治療内容はB群:1st(IVIG23)、2nd(IVIG17, IVIG+PSL6)、3rd(IVIG1, IVMP4, PSL1, IVIG+CsA1)、4th(CsA3, IFX1)、A群:1st(IVIG13, IVIG+PSL4)、2nd(IVIG9, IVIG+PSL6, IFX1, IVIG+IFX1)、3rd(IVIG1, IVMP2, PSL1, IFX2)、4th(IFX1)。B群:A群で、有熱期間は10日:9日(中央値)、CRP陰性化病日は16日:15日(中央値)、退院病日は21日:18日(中央値)、有害事象はA群で1例、冠動脈Zスコア変化量はpre Max-Entで-1.5:-1.5(中央値)、pre Max-Lastで-1.2:-1.4(中央値)、冠動脈病変合併率は17%:12%。【考察】IFX導入後はPSLやCsAの長期使用例が減少し、有熱期間、CRP陰性化病日、退院病日は短縮傾向だった。導入前後で短期的、中期的共に冠動脈Zスコア変化量は変わらないが冠動脈病変合併率は低くなる傾向にあった。【結論】IFX導入によりその選択優先度が高くなり、より短期間での炎症の寛解と冠動脈病変減少が期待される。