[III-OR34-01] 成人Fontan患者における腎機能障害について
キーワード:Fontan, 腎機能障害, リスク因子
【背景】Fontan術後遠隔期の問題点として腎機能障害が挙げられる。また腎機能障害は腎うっ血、心拍出量低下、低酸素、骨格筋量低下など様々な因子が関与していると報告されている。
【目的】Fontan術後遠隔期の腎機能障害のリスク因子について検討する事。【対象・方法】対象は2016年7月から2018年12月まで心臓カテーテル検査を行った成人Fontan患者96人(男性53人、女性43人、年齢:28±8歳、Fontan手術年齢6.4±4.7歳、Fontan術後年数21.6±4.7年)。血清Cr値、年齢、性別からeGFRを算出、eGFR正常群(90ml/min/1.73m2以上)とeGFR低下群(90ml/min/1.73m2以下)の2群間に分けて患者背景、血行動態、血液検査(RAA系、BNP)、骨格筋量との関係を検討した。尚、骨格筋量はIn Body720を用いて生体電気インピーダンス法で測定した(PM lead挿入患者は除く)。
【結果】eGFRは90ml/min/1.73m2以上が45人、60-90ml/min/1.73m2が48人、60ml/min/1.73m2以下が3人であった。eGFR低下群では正常群と比較して有意に高年齢(30.0±7.8 vs 25.3±6.6歳、p<0.01)、Fontan手術年齢が高く(7.7±4.6 vs 5.0±4.3歳、p<0.01)、Fontan術後年数が長く(22.8±0.6 vs 20.3±0.7年、p<0.01)、CIが低値(2.3±0.5 vs 2.7±0.6 L/min/m2、p<0.01)、Fontan術後の酸素飽和度が低く(93±3 vs 95±2%、p<0.01)、骨格筋量が少なかった(13.0±1.8 vs 13.9±1.6 kg/m2、p<0.05)。またeGFR低下群で有意にLog BNPが高値(4.5±1.0 vs 3.8±1.0 pg/ml、p<0.01)であった。中心静脈圧やFontan術式ではeGFR低下群と正常群で有意差は認めなかった。多変量ロジスティック回帰分析を行うと、eGFR低下群で優位にCIが低値(OR: 0.3; 95% CI: 0.10 to 0.86; p=0.02)であった。
【結論】Fontan術後の低心拍出による腎血流低下がFontan術後遠隔期の腎機能障害に関与している可能性がある。
【目的】Fontan術後遠隔期の腎機能障害のリスク因子について検討する事。【対象・方法】対象は2016年7月から2018年12月まで心臓カテーテル検査を行った成人Fontan患者96人(男性53人、女性43人、年齢:28±8歳、Fontan手術年齢6.4±4.7歳、Fontan術後年数21.6±4.7年)。血清Cr値、年齢、性別からeGFRを算出、eGFR正常群(90ml/min/1.73m2以上)とeGFR低下群(90ml/min/1.73m2以下)の2群間に分けて患者背景、血行動態、血液検査(RAA系、BNP)、骨格筋量との関係を検討した。尚、骨格筋量はIn Body720を用いて生体電気インピーダンス法で測定した(PM lead挿入患者は除く)。
【結果】eGFRは90ml/min/1.73m2以上が45人、60-90ml/min/1.73m2が48人、60ml/min/1.73m2以下が3人であった。eGFR低下群では正常群と比較して有意に高年齢(30.0±7.8 vs 25.3±6.6歳、p<0.01)、Fontan手術年齢が高く(7.7±4.6 vs 5.0±4.3歳、p<0.01)、Fontan術後年数が長く(22.8±0.6 vs 20.3±0.7年、p<0.01)、CIが低値(2.3±0.5 vs 2.7±0.6 L/min/m2、p<0.01)、Fontan術後の酸素飽和度が低く(93±3 vs 95±2%、p<0.01)、骨格筋量が少なかった(13.0±1.8 vs 13.9±1.6 kg/m2、p<0.05)。またeGFR低下群で有意にLog BNPが高値(4.5±1.0 vs 3.8±1.0 pg/ml、p<0.01)であった。中心静脈圧やFontan術式ではeGFR低下群と正常群で有意差は認めなかった。多変量ロジスティック回帰分析を行うと、eGFR低下群で優位にCIが低値(OR: 0.3; 95% CI: 0.10 to 0.86; p=0.02)であった。
【結論】Fontan術後の低心拍出による腎血流低下がFontan術後遠隔期の腎機能障害に関与している可能性がある。