第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

成人先天性心疾患

一般口演34(III-OR34)
成人先天性心疾患 1

2019年6月29日(土) 08:30 〜 09:20 第6会場 (小ホール)

座長:森 善樹(北里大学メディカルセンター 小児科)
座長:土井 拓(天理よろづ相談所病院 小児科・先天性心疾患センター)

[III-OR34-03] 当院で成人期に達した先天性心疾患を有するDown症候群の現状

中野 裕介1, 青木 晴香1, 黒田 浩行1, 渡辺 重朗1, 鉾碕 竜範1, 仁田 学2, 町田 大輔3, 磯松 幸尚3, 益田 宗孝3 (1.横浜市立大学附属病院 小児循環器科, 2.横浜市立大学附属病院 循環器内科, 3.横浜市立大学附属病院 心臓血管外科)

キーワード:成人先天性心疾患, ダウン症, 内科移行

【背景】先天性心疾患に対する早期外科治療やEisenmenger症候群(ES)等に対する内科治療の進歩によって、ダウン症の平均寿命は60歳超の時代を迎えたが、成人(特に中年期以降)の様々な合併症に対する健康管理が必要になる。【目的】成人に到達した先天性心疾患を有するダウン症患者の健康状態の現状と医療体制の問題点を把握する事。【方法】2014年以降に当院小児循環器科または循環器内科成人先天性心疾患外来の定期外来通院歴があり、最終受診時に成人に達していたダウン症患者を抽出。診療録から後方視的に基礎心疾患、外科手術の有無、通院状況、社会生活状況、心疾患以外の併存症等について調査した。【結果】対象患者13例(男4、女9)。年齢中央値39歳(22-56)。基礎心疾患はAVSD3(complete2、partial1)、VSD1、ASD2、ASD+MVP/MR1、VSD+DCRV2、small VSD+Bicuspid A vlave1、PDA1、TOF1、Ebstein/TR1。心内修復術を施行されているのは3例(小児期VSD+DCRV1と成人期partial AVSD1、ASD+MVP/MR1)。未修復でES進展4例で、中等度PH+ASD、TOF、VSD+DCRV各1例は外科手術希望なし。残り3例は将来的な修復治療の可能性あり。死亡2(15%;46歳ES、23歳白血病)。最終の循環器フォローは小児科循環器9、循環器内科4。地域の内科定期通院3、小児科定期通院2と一部に内科移行例あるが未修復例は全例小児科が主。生活拠点は自宅9、施設入所3、長期入院1。週3回以上の作業所就労または養護学校就学6(46%)。心疾患以外の合併症として高尿酸血症10(77%)、脂質異常症6(46%)、甲状腺機能低下4(31%)、白内障4(31%)、てんかん3(23%)、抗精神薬使用歴3(23%)あり。40歳以降例で重症感染症4(脳膿瘍2、心内膜炎2)を認めた。【まとめ】当院の成人先天性心疾患を有するダウン症の過半数は外科修復希望がなく長期フォローされており、そのような例での内科移行は進んでいない。心疾患以外の合併症も多く総合的な健康管理指針と体制構築が必要である。