[III-OR39-05] 二心室修復術後の完全型房室中隔欠損症における術後左側房室弁機能不全に関与する危険因子
キーワード:CAVSD, LAVVR, LAVVS
【背景】完全型房室中隔欠損症(cAVSD)における二心室修復術(BVR)後合併症の1つに左側房室弁機能不全があり、弁尖の低形成などが関与するとされている。【目的】BVR前の患者因子や心エコー検査の各計測値から術後左側房室弁閉鎖不全を来す危険因子を検討する。【方法】2010年から2018年に当院でBVRを施行したcAVSD40例を対象とした単施設後方視的観察研究。当院では生後4か月以降でのBVRを基本方針とし、それ以前に顕著な高肺血流状態があれば肺動脈絞扼術を先行、また術式はtwo-patch法を第一選択としている。対象の内訳は21トリソミー29例(72.5%)、多脾症候群1例(2.5%)、他の心疾患合併26例(65%)。BVR前心エコー検査では拡張末期乳頭筋間距離や乳頭筋間角度(Kohl T et al. Am J Cardiol.1996)、左側房室弁輪径正常比(Daubeney PE et al. Cardiol Young 1999)、左室拡張末期容積正常比(青墳ら日児誌1995)などを計測した。【結果】BVR時日齢676±433日(130-2467)、姑息術24例(60%)、左側房室弁再介入8例(20%)。各計測値は乳頭筋間距離16.2±3.9mm(√BSA補正25.8±4.4mm/√m2)、乳頭筋間角度118.8±11.5度、左側房室弁輪径正常比90.3±18.4%N、左室拡張末期容積正常比116.8±38.3%N、重複房室弁口3例(7.5%)。単変量解析では乳頭筋間角度(p<0.01)、左側房室弁輪径正常比(p=0.03)が左側房室弁再介入の有意な因子だった。多変量解析では乳頭筋間角度(p=0.04)が独立した危険因子であり、ROC解析によるカットオフ値は111度(感度87.5%、特異度90.7%;AUC0.93)だった。【結語】乳頭筋間角度は左側外側尖の大きさを反映していると考えられ、術後予測に有用と思われた。