第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション73(III-P73)
術後遠隔期・合併症・発達 9

Sat. Jun 29, 2019 1:00 PM - 2:00 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:桑原 尚志(岐阜県総合医療センター 小児循環器内科)

[III-P73-05] Fontan術後蛋白漏出性胃腸症に対する早期のカテーテルもしくは外科治療介入の有用性

佐藤 一寿, 上田 和利, 荻野 佳代, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院 小児科)

Keywords:Fontan術後, 蛋白漏出性胃腸症, カテーテル治療

【背景】Fontan術後の合併症である蛋白漏出性胃腸症(PLE)は難治であり、さまざまな内科的治療が報告されているが十分な効果が得られない場合が多い。近年では術後の高い中心静脈圧に対する処置として、Fontan手術時に人工導管にfenestrationを作成している例も多いが、その多くは術後に閉鎖している。【目的・方法】我々はFontan術後低アルブミン血症が出現した時点から比較的早期にカテーテル治療あるいは外科治療を行うことにより、すみやかにアルブミンの改善を認めた4症例を経験した。その治療の有用性を評価するため、診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】男児1例、女児3例。疾患は左心低形成症候群2例、多脾症候群1例、21trisomy 1例で、Fontan到達年齢は中央値3歳であった。Fontan手術は全例extracardiac TCPCであり、施行時全例にfenestrationを作成していたが、2例は術後カテーテルもしくは心エコーで閉塞を確認した。PLE発症時期は術後4か月-2年4か月で、アルブミンの中央値は2.1g/dl、直近のカテーテル検査での下大静脈圧は中央値でmean 16mmHgであった。治療介入時期はPLE発症後1-7か月で、介入方法はカテーテル治療が3例、外科手術(房室弁形成+fenestration再作成)が1例で、カテーテル治療のうちわけはLPA stent 3例、fenestration拡大 2例であった。治療後アルブミンは中央値 4.6g/dlに、下大静脈圧は中央値でmean 12mmHgに改善した。一方4例中2例は経過中鋳型気管支炎も併発しているが、いずれもPLE改善後にも症状が残存している。【結論】PLE発症後、早期にカテーテルもしくは外科的に治療介入を行い血行動態を改善させることは、PLEの進行を停止、もしくは改善させる可能性があるが、鋳型気管支炎を改善させることは難しく、異なる治療アプローチの必要性が示唆される。