第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療遠隔成績

ポスターセッション75(III-P75)
外科治療遠隔成績 2

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:打田 俊司(愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科)

[III-P75-03] 体重2kg未満の先天性心疾患に対する治療成績とリスク因子の検討

加藤 秀之, 松原 宗明, 五味 聖吾, 平松 裕司 (筑波大学附属病院 心臓血管外科)

キーワード:低出生体重児, 肺動脈絞扼術, 複雑心奇形

[目的]複雑先天性心疾患をもつ低出生体重児に対する治療成績は依然として厳しく、一期的心修復術での耐術が困難と判断される場合には姑息手術を用いざるを得ない症例も多く存在する。当院では体重2kg未満の高肺血流型の複雑先天性心疾患に対して姑息手術として肺動脈絞扼術を行っており、その治療成績とリスク因子について考察する。 [方法]2012年1月から2018年8月の期間で外科的介入を要した複雑先天性心疾患をもつ患児のうち手術時体重が2kg未満で姑息手術として主または両側肺動脈絞扼術を行った連続13例の患児を後方視研究で調査し、術前術後のデータを分析し生存率に影響を与える因子を研究した。[結果]全13例の疾患は大動脈離断症、総動脈管症、両大血管右室起始症、左心低形成症候群、房室中隔欠損症、心室中隔欠損症であった。姑息手術として両側肺動脈絞扼術または肺動脈絞扼術が選択された。平均手術時日齢は26.8±22.4 日、平均手術時体重は1618.1±287.8 gであった。13例のうち二心室症例が9例、単心室症例が4例であった。13例のうち10例が心内修復術または両方向性グレン手術に到達し2例が到達できず死亡、1例が心内修復術待機中である。グレン手術到達例のうち1例は遠隔期の呼吸不全により失っている。生存群(n=10)と死亡群(n=3)の2群間で比較すると死亡群では単心室症例が多く(1/10 vs 3/3, p=0.01)、姑息術後の房室弁逆流が有意に多かった(p=0.03)。また、待機期間中の体重増加量が低く(2892.9±961.3 vs 1352.3±803.2 g, p=0.049)、染色体異常が多い(3/10 vs 3/3, p=0.07)傾向にあった。[結論]体重2kg未満の肺動脈絞扼術症例において二心室症例は全例生存しており良好な成績を示した。その反面、単心室症例や高度な房室弁逆流、緩徐な体重増加、染色体異常症例は高リスク群となる可能性があり、さらなる技術の研鑽、治療戦略の確立が求められる。