[III-P85-02] 左冠動脈右冠動脈洞起始に対する2手術例
キーワード:冠動脈起始異常, 先天性冠動脈疾患, 心臓突然死
【目的】冠動脈起始異常の発生率は1%と稀ではない先天性心疾患である。当院で経験した心筋虚血を生じるリスクのあるmalignant courseの左冠動脈右冠動脈洞起始に対して手術を施行した2例を報告する。【症例1】11歳女児。体育の授業中に卒倒、意識消失は無かった。心機能の低下、血液検査でのCPK・トロポニンT上昇を認め急性心筋炎の疑いで当院に救急搬送。心電図所見で虚血が疑われ心臓超音波で左冠動脈が右バルサルバより起始しており左主冠動脈が大動脈・肺動脈間を走行しており冠動脈の圧排・狭窄によって心筋虚血を起こしたと考えられたため手術となった。右バルサルバ洞より左冠動脈が起始しており大動脈壁内走行が認められたため冠動脈にゾンデを通しそのガイド下に壁内走行部分を切開して開放した。(unroofing procedure)術後心機能は改善しており経過良好で外来通院中である。【症例2】12歳男児。大動脈弁狭窄の診断でフォロー中に、カテーテル検査を行った際、左冠動脈が右バルサルバ洞より起始しており大動脈・肺動脈間を走行していたため現在胸部症状は出ていないが希望あったため手術となった。大動脈弁は右冠尖と左冠尖が癒合した2尖弁であった。左冠動脈は癒合した右のバルサルバ洞より起始しており左右の冠尖の癒合した交連部分をくぐる壁内走行をしており大動脈壁からの分離は不可能であったため肺動脈の再建を大動脈の前で行う事(French maneuver)により大動脈と肺動脈の圧排を解除することとした。術後経過は良好で外来通院中。【結語】左冠動脈右冠動脈洞起始を有した2症例に対して手術介入を行った。頻度は先天性冠動脈起始異常の30-50%を占め冠動脈対側冠動脈洞起始は最も遭遇する機会の多い異常所見であり、また重篤な状態を引き起こす危険があるため診療では念頭におく必要がある。