第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

川崎病・冠動脈・血管

ポスターセッション85(III-P85)
川崎病・冠動脈・血管 7

2019年6月29日(土) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (大ホールB)

座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[III-P85-03] 虚血性心筋症を併発した血栓閉鎖左冠動脈瘤に対して冠動脈バイパス術および僧帽弁弁輪縫縮術を施行した1例

松葉 智之1, 山下 雄史1, 緒方 裕樹1, 井本 浩1, 塩川 直宏2, 中江 広治2, 高橋 宜宏2, 川村 順平2, 櫨木 大祐2, 上野 健太郎2 (1.鹿児島大学大学院 心臓血管・消化器外科学, 2.鹿児島大学 小児科)

キーワード:冠動脈瘤, 虚血性心筋症, CABG

冠動脈瘤の発生原因として,川崎病に代表される炎症性疾患やマルファン症候群などの結合織疾患が有名であるが,先天性が原因である場合も少なくない.今回,血栓閉鎖左冠動脈瘤に伴う虚血性心筋症により心不全を契機に発見され,冠動脈バイパス術 (CABG), 僧帽弁弁輪縫縮術 (MAP)を施行した症例を一例経験した.
症例は6歳,女児,全身浮腫を主訴に受診.川崎病などの炎症性疾患や感染症の既往はなく,結合織疾患の家族歴もなし.精査の結果,血栓閉鎖左冠動脈瘤に伴う虚血性心筋症および僧帽弁閉鎖不全症 (moderate)と診断された.コアテック,ラシックス静注による心不全コントロールを行った後,CABG (LITA-LAD) + MAPを施行した.術直後から再灌流による影響と思われる心室性不整脈のコントロールに難渋したが,術後4日目に抜管,術後15日目にICU退室した.術後5年後の心臓カテーテル検査でもLITA-LAD flow良好,MR mild, 胸部レントゲン写真でもCTRの縮小を得られている.
小児CABGの遠隔期成績は良好であり,冠動脈病変に対する標準術式として確立した物である.小児心臓外科医がCABGを行う機会はそれほど多くはないが,動脈スイッチを行う際のトラブルシューティングなどにも応用可能な手技であり,日々のトレーニングが必要であることは間違いない.