[III-P89-06] 山梨県の小学校におけるAEDの設置と心肺蘇生教育に関するアンケート調査
キーワード:心肺蘇生, AED, 突然死
【背景】学校での心臓突然死を防ぐためには、AED到着までの時間を短縮すること、救急隊到着までの間に居合わせた人が心肺蘇生を行うことが重要と考えられる。しかし、学校内でAEDがどのように配置されているか、児童に対して心肺蘇生教育が行われているか、その実態は明らかではない。【目的】山梨県における小学校内のAEDの設置状況および児童に対する心肺蘇生教育に関する現状を把握すること。【方法】山梨県内すべての小学校に調査票を送付し、AEDの設置台数、設置場所、児童を対象とした心肺蘇生講習開催の有無、講習の内容について調査した。【結果】176の小学校に調査票を送付し、110校(62.5%)から回答を得た。全ての学校にAEDが設置されていたが、1台のみの設置が88校(80%)であった。設置場所は職員室が51台(38%)で最も多く、体育館、玄関、保健室の順に多く設置されていた。96台(72%)のAEDは夜間や休日に使用不可能であった。児童を対象とした心肺蘇生講習は25校(22.7%)で行われ、5校は全学年が対象であった。内容は胸骨圧迫の練習(24校)、AED操作の練習(19校)が中心で、講師は救急や消防の職員が多かった。講習の場はPTA活動や授業の一環、学校行事など様々であった。【考察】全ての小学校でAEDが設置されていた一方で、設置台数や場所は充分とは言えなかった。さらに、夜間や休日に使用できないAEDが多く、AEDの管理状況にも課題があった。学校の児童数や敷地の広さなどを考慮したAEDの配置を学校ごとに検討していく必要がある。また、児童に心肺蘇生教育をしている学校はまだ少なく、その対象や内容、形態も一貫性がなかった。今後、多くの児童が効果的に心肺蘇生方法を学ぶためには、小学校で学習する機会を確保することが重要である。【結語】小学校のAEDの増台と設置場所の再検討および学校内での心肺蘇生教育の充実が、学校での突然死を減少させるために必要だと考えられた。