[III-P96-04] 大動脈縮窄および大動脈弓離断の術後遠隔期の左心系閉塞病変は左室収縮障害・拡張障害と関連する
キーワード:大動脈縮窄, 大動脈弓離断, ストレイン
【はじめに】大動脈縮窄および大動脈弓離断の術後遠隔期に、大動脈弓や左室流出路の狭窄がしばしば認められる。本研究の目的は、大動脈縮窄や大動脈弓離断の術後の小児における左心系閉塞病変が、左室の収縮・拡張機能におよぼす影響を明らかにすることである。
【方法】2018年1月から12月に、定期経過観察のための心エコー検査を受けた3~15歳の大動脈縮窄(8例)および大動脈弓離断(6例)の術後患者を対象とした。Yasui手術を行った患者は除外した。1例を除く全例で心室中隔欠損を合併していた。左心系閉塞病変は、大動脈弁もしくは大動脈峡部の最大血流速度が2.5 m/秒を超えるものと定義した。左心系閉塞病変の有無で患者を2群に分け、Simpson法で計測した左室駆出率、左室長軸方向ストレイン、左房最大ストレインを比較した。両群の比較にはMann-Whitney U検定を用い、p値0.05未満を有意差ありとした。
【結果】大動脈弓の修復手術の施行時日齢は中央値12 (3~81)で、心エコー検査時の年齢中央値は6.7 (3.0~14.9)歳であった。全14例中、左心系閉塞病変は6例(部位は大動脈弁が5例、大動脈峡部が1例)で認められ、狭窄部の最大血流速度は3.2 (2.6~5.1) m/秒であった。両群で、年齢、体表面積、心拍数、収縮期血圧に有意差はなかった。全症例で左室駆出率は50%以上あり、両群で左室駆出率に有意差はなかった。左心系閉塞病変を有する患者群の方が、左室長軸方向ストレインが有意に悪く(-18% [-19% ~ -14%] vs -20 [-22 ~ -19%], p<0.01)、また左房最大ストレインも低下していた(28% [24%~36%] vs 36% [34%~46%], p<0.01)。
【結論】大動脈縮窄・大動脈弓離断術後の小児では、左室駆出率の低下がないにもかかわらず、左心系閉塞病変の存在は左室長軸方向の収縮低下および拡張障害と関連していた。
【方法】2018年1月から12月に、定期経過観察のための心エコー検査を受けた3~15歳の大動脈縮窄(8例)および大動脈弓離断(6例)の術後患者を対象とした。Yasui手術を行った患者は除外した。1例を除く全例で心室中隔欠損を合併していた。左心系閉塞病変は、大動脈弁もしくは大動脈峡部の最大血流速度が2.5 m/秒を超えるものと定義した。左心系閉塞病変の有無で患者を2群に分け、Simpson法で計測した左室駆出率、左室長軸方向ストレイン、左房最大ストレインを比較した。両群の比較にはMann-Whitney U検定を用い、p値0.05未満を有意差ありとした。
【結果】大動脈弓の修復手術の施行時日齢は中央値12 (3~81)で、心エコー検査時の年齢中央値は6.7 (3.0~14.9)歳であった。全14例中、左心系閉塞病変は6例(部位は大動脈弁が5例、大動脈峡部が1例)で認められ、狭窄部の最大血流速度は3.2 (2.6~5.1) m/秒であった。両群で、年齢、体表面積、心拍数、収縮期血圧に有意差はなかった。全症例で左室駆出率は50%以上あり、両群で左室駆出率に有意差はなかった。左心系閉塞病変を有する患者群の方が、左室長軸方向ストレインが有意に悪く(-18% [-19% ~ -14%] vs -20 [-22 ~ -19%], p<0.01)、また左房最大ストレインも低下していた(28% [24%~36%] vs 36% [34%~46%], p<0.01)。
【結論】大動脈縮窄・大動脈弓離断術後の小児では、左室駆出率の低下がないにもかかわらず、左心系閉塞病変の存在は左室長軸方向の収縮低下および拡張障害と関連していた。