[III-PD09-02] 立体心臓模型を利用した最適な手術設計:実臨床での有用性とpitfall
キーワード:立体心臓模型, 3Dプリンター, シミュレーション
【背景と目的】近年,立体心臓模型(模型)を用いた小児心臓手術シミュレーションの有用性が報告されている.当施設では2014年以降,市販のパーソナル3Dプリンターを用いて患者CT画像データから自施設で模型を作製し,手術設計や患者/家族への説明に臨床応用してきた.心血管形態把握を目的とした模型の有用性とpitfallについて検討する.
【対象と方法】対象は14例.手術時年齢は1~12(中央値2)歳,手術時体重8~38(中央値11)kg.疾患は,Mirror image CAVSD 1例,Subaortic stenosis 1例,TGA (III) (multiple VSD) 1例,ToF 1例,ToF/PA 1例,DORV 1例,DORV/PS 2例(1例はanatomically corrected malposition of the great arteries合併),DORV/PA 2例,Extremely large VSD 1例,SRV/PA 1例,PTA (II)/PAPVC (unbalance AVSD) 1例,TA (Ib)/PAPVC 1例.CT画像データを基に3Dプリンターで造形したABS樹脂製実体模型を鋳型として,透明シリコーン製中空模型を作製した.模型を用いたシミュレーションで術式を決定後,手術に臨んだ.模型は家族・スタッフへの手術説明にも用いた.
【結果】PAPVC合併2例は血管形態把握のため実体模型のみ作製し,他の12例は心内形態把握のため実体模型と中空模型を作製した.全例模型による手術設計が可能で,計画どおりの手術を施行したが,DORV/PAの1例では模型で再現しえなかった異常筋束を原因とする遺残VSD短絡のため再手術を要した.
【考察と結論】透明シリコーン製中空立体心臓模型は,手に取りあらゆる角度から,また任意の切開部から観察することができる.自験例で再現しえなかった異常筋束は,元のCT画像でも不明瞭であり,被曝線量低減のため心電図非同期で呼吸抑制も行わなかったことが,画像の質と模型の精度に影響したと考えられた.元のCT画像の精度がpitfallとなりうるが,模型は複雑ないし稀な心血管の形態把握や手術設計,患者/家族への説明に極めて有用である.
【対象と方法】対象は14例.手術時年齢は1~12(中央値2)歳,手術時体重8~38(中央値11)kg.疾患は,Mirror image CAVSD 1例,Subaortic stenosis 1例,TGA (III) (multiple VSD) 1例,ToF 1例,ToF/PA 1例,DORV 1例,DORV/PS 2例(1例はanatomically corrected malposition of the great arteries合併),DORV/PA 2例,Extremely large VSD 1例,SRV/PA 1例,PTA (II)/PAPVC (unbalance AVSD) 1例,TA (Ib)/PAPVC 1例.CT画像データを基に3Dプリンターで造形したABS樹脂製実体模型を鋳型として,透明シリコーン製中空模型を作製した.模型を用いたシミュレーションで術式を決定後,手術に臨んだ.模型は家族・スタッフへの手術説明にも用いた.
【結果】PAPVC合併2例は血管形態把握のため実体模型のみ作製し,他の12例は心内形態把握のため実体模型と中空模型を作製した.全例模型による手術設計が可能で,計画どおりの手術を施行したが,DORV/PAの1例では模型で再現しえなかった異常筋束を原因とする遺残VSD短絡のため再手術を要した.
【考察と結論】透明シリコーン製中空立体心臓模型は,手に取りあらゆる角度から,また任意の切開部から観察することができる.自験例で再現しえなかった異常筋束は,元のCT画像でも不明瞭であり,被曝線量低減のため心電図非同期で呼吸抑制も行わなかったことが,画像の質と模型の精度に影響したと考えられた.元のCT画像の精度がpitfallとなりうるが,模型は複雑ないし稀な心血管の形態把握や手術設計,患者/家族への説明に極めて有用である.