[III-TRO03-04] 急性心筋炎13症例の心電図変化と臨床像の検討、またはInvestigation of electrocardiography and clinical features of patients with acute myocarditis
キーワード:急性心筋炎, 心電図, 遠隔期
【背景】急性心筋炎では多彩な心電図変化を示すが、急性期の心電図変化や、それが遠隔期にかけてどのように変化するかについて調べた報告は少ない。【目的】急性心筋炎症例の急性期及び遠隔期の心電図を検討し、臨床像との関連を考察する。【対象と方法】2006年1月から2018年12月に当院に入院した急性心筋炎13症例を対象として、急性期の経過、急性期及び遠隔期の12誘導心電図、退院後のフォローアップ状況について診療録を用いて後方視的に検討した。【結果】入院時の年齢は中央値5歳(0-14歳 )、7例が男児であった。12例が生存退院し、1例は入院中である。入院期間は中央値34日(11-78日)、追跡期間は3-118か月(1例は前医へ逆紹介)であった。8/13例(61.5%)が急性期にVT/VFを発症し、1例は除細動と抗不整脈薬投与で改善し、7例はECMO導入後にVT/VFの解除を得られた。1例に退院後のVF再発があり、現在(発症後40か月)、抗不整脈薬を内服中である。急性期にみられた伝導障害の種類は、IRBBB2例、CRBBB7例、左脚後枝ブロック1例、1度AVB1例、2度AVB2例、3度AVB5例であった。3度AVB全例に一時ペーシングを施行し、4/5例(80%)は入院5、5、10、12日目までペーシングを要したものの改善し、1例は改善せず入院26日目にPMIを施行した。その他の伝導障害は退院時にCRBBBが2例に残存し、いずれも現在まで残存している。【結論】急性心筋炎において急性期のVT/VFの多くは改善するが稀に再発し得るため、収縮や伝導障害の改善後も運動再開には慎重な判断を要する。3度AVBの多くは入院12日目までにペーシングが不要となっており、難治症例へのPMI導入時期の目安となる。入院時に頻繁に認める脚ブロックも退院時までに消失することが多いが、遠隔期に残存することもあり、心機能と併せてフォローアップが必要である。