[III-YB05-05] サブグループ分類に基づいた小児拘束型心筋症の予後予測と今後の治療戦略
キーワード:拘束型心筋症, 病型分類, 心臓移植
【背景】
小児拘束型心筋症(RCM)は、診断2年後の心臓死回避率が約40%と予後不良である。しかし実際はRCMも単一の病態ではなく様々な臨床像を呈するが、これまでまとまった病型分類はなされておらず正確な予後予測も困難である。
【方法】
当院で診療した小児RCMの38例(女20例、男18例:診断時平均年齢5.4歳)を対象とし、心エコー所見から臨床病型を4群に分類した。I. 両心房の著明な拡大を認めるpure RCM、II. 軽度から中等度の心筋肥大に、軽度の心房拡大と拡張障害を呈するHCM/RCM、III. 当初は拡張型心筋症と診断され、次第に左室拡張障害が顕在化するrDCM、IV. 球状の小さな左室と著明な拡張障害を呈するApical hypoplasia with restrictive cardiomyopathy (AHRC)
【結果】
38例の内訳は、I. pure RCM: 19例 (移植15、待機中4、死亡0)、II. HCM/RCM: 9例(移植1、Status2で待機中2、外来通院中6、死亡0)、III. rDCM: 7例(移植3、待機中3、死亡1)、IV.AHRC:3例(心肺同時移植2、死亡1)であった。発症から心イベント(移植・死亡・VAD装着)までの平均期間は、I. 1.8年、II. 10.3年、IV. 13.0年で、II.は移植済1例を除き現在まで平均5.4年の観察期間で外来加療中である。各群での平均LVEDPはそれぞれ23, 21, 26, 35 mmHg、mPAPは32, 23, 37, 93 mmHg、PVRIは4.8, 2.4, 4.9, 19.2 WU・m2であった。
【考察】
pure RCMは予後不良で、かつ内科治療もVAD治療も管理困難を極めるため早期の移植が望まれる。HCM/RCMは概ね緩徐進行性であり長期内科管理も目指せる。rDCMは拡張障害が顕在化した後もLVAD装着により比較的安定して待機が可能である。AHRCは早期に著明な肺高血圧を呈するが、LVAD装着により肺血管がreverseするのかが今後の検討課題である。
今後、原因遺伝子解析も含めたRCM臨床病型とリスク分類を確立することにより、適切なRCMの治療戦略と移植allocation systemの構築につなげていく必要がある。
小児拘束型心筋症(RCM)は、診断2年後の心臓死回避率が約40%と予後不良である。しかし実際はRCMも単一の病態ではなく様々な臨床像を呈するが、これまでまとまった病型分類はなされておらず正確な予後予測も困難である。
【方法】
当院で診療した小児RCMの38例(女20例、男18例:診断時平均年齢5.4歳)を対象とし、心エコー所見から臨床病型を4群に分類した。I. 両心房の著明な拡大を認めるpure RCM、II. 軽度から中等度の心筋肥大に、軽度の心房拡大と拡張障害を呈するHCM/RCM、III. 当初は拡張型心筋症と診断され、次第に左室拡張障害が顕在化するrDCM、IV. 球状の小さな左室と著明な拡張障害を呈するApical hypoplasia with restrictive cardiomyopathy (AHRC)
【結果】
38例の内訳は、I. pure RCM: 19例 (移植15、待機中4、死亡0)、II. HCM/RCM: 9例(移植1、Status2で待機中2、外来通院中6、死亡0)、III. rDCM: 7例(移植3、待機中3、死亡1)、IV.AHRC:3例(心肺同時移植2、死亡1)であった。発症から心イベント(移植・死亡・VAD装着)までの平均期間は、I. 1.8年、II. 10.3年、IV. 13.0年で、II.は移植済1例を除き現在まで平均5.4年の観察期間で外来加療中である。各群での平均LVEDPはそれぞれ23, 21, 26, 35 mmHg、mPAPは32, 23, 37, 93 mmHg、PVRIは4.8, 2.4, 4.9, 19.2 WU・m2であった。
【考察】
pure RCMは予後不良で、かつ内科治療もVAD治療も管理困難を極めるため早期の移植が望まれる。HCM/RCMは概ね緩徐進行性であり長期内科管理も目指せる。rDCMは拡張障害が顕在化した後もLVAD装着により比較的安定して待機が可能である。AHRCは早期に著明な肺高血圧を呈するが、LVAD装着により肺血管がreverseするのかが今後の検討課題である。
今後、原因遺伝子解析も含めたRCM臨床病型とリスク分類を確立することにより、適切なRCMの治療戦略と移植allocation systemの構築につなげていく必要がある。