第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

優秀演題

胎児心臓病学

優秀演題06(II-OEP06
胎児治療へつなぐ先天性心疾患の胎児診断

2020年11月23日(月) 10:10 〜 10:40 Track5

座長:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)
座長:小野 博(国立成育医療研究センター 循環器科)

[II-OEP06-2] ヒドロキシクロロキンによる抗SS-A抗体陽性妊婦での先天性房室ブロックの再発抑制:多施設共同医師主導臨床試験(J-PATCH)

永峯 宏樹1, 前田 潤1, 三浦 大1, 澁谷 和彦2, 中矢代 真美3, 石川 貴充4, 漢 伸彦5, 大野 拓郎6, 堀米 仁志7, 前野 泰樹8, 横川 直人9 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.東京都立大塚病院 小児科, 3.沖縄県立南部こども医療センター 小児循環器内科, 4.浜松医科大学 小児科, 5.福岡市立こども病院 胎児循環器科, 6.大分県立病院 小児科, 7.筑波大学小児科, 8.久留米大学小児科, 9.東京都立多摩総合医療センター リウマチ膠原病科)

キーワード:房室ブロック, 胎児, 抗SS-A抗体

【背景】抗SS-A抗体関連先天性房室ブロックは致死率が約20%、ペースメーカー留置が約70%の重篤な合併症である。抗SS-A抗体合併妊娠全体の約2%の胎児に合併するが、前児罹患例での次回妊娠での再発率は約10倍(16-18%)高くなる。【目的】海外の臨床試験(PATCH)において、ヒドロキシクロロキン(HCQ)が投与された54例での再発は4例(7.4%)と低いことが2019年に報告された。本試験では国内での有用性を検討する。【方法】本試験は医師主導のオープンラベル単群試験である。2017年9月より単施設でオンライン診療を用いて開始し、2019年3月より臨床研究法に基づく特定臨床研究に改訂(jRCTs031180312)、同年9月より多施設共同試験として実施している。対象は、抗SS-A抗体陽性で、前児に新生児ループスの心臓病変を合併し、妊娠10週までの妊婦である。妊娠期間中HCQ400mg/日を投与する。胎児心臓超音波検査は18週以降26週まで2週間毎に実施する。主要評価項目は胎児期または出生時の房室ブロック(II度とIII度) の合併率とする。産科医が研究責任医師、小児科医が研究分担医師となり妊娠分娩管理を行い、母体は産科医が分娩後半年までフォローし、児は小児科医が生後1年までフォローを行う。【結果】2020年2月までに10例(2019/3までに5例、2019/3以降5例)の組み入れを行った。紹介元は膠原病医4、小児科医3、産科医2、患者(インターネット)1であった。多施設化後に追加した施設は5施設で、試験薬管理の問題およびプロトコール上の問題で追加できなかった施設が2施設であった。【考察】全国の周産期医療センターの協力によりこれまで本試験の参加を希望する患者全員を組み入れることができている。【結論】HCQによるCHBの再発予防効果が海外の臨床試験で示されたが、国内の多施設での検討が重要である。