[II-PD06-3] 重症Ebstein奇形の胎児循環不全評価:臍帯動脈,中大動脈,能胎盤血流比測定の有用性
キーワード:Ebstein, 胎児心エコー, 循環動態
【背景】胎児循環動態の評価は血流量の測定は困難なために、パルスドップラー法による臍帯動脈(UA),中大脳動脈血流(MCA)の血流計測からpulsatile index(PI:(収縮期流速-拡張期流速/平均流速)と脳胎盤血流比(MCA-PI/UA-PI:CPR)で行うことが一般的である。PI値は末梢血管抵抗を示すものであるが分母は平均流速で有り血流評価も含まれており,胎児心拍出量低下では拡張期血流が低下によりUA-PI値は上昇し,Brain sparing現象によりMCA-PI値の低回にともないCPRは低下する。我々は重症Ebstein奇形(EA)にこれらの指標を使用して胎児循環を評価して生直後の外科治療を含めた周産期管理を行っているが,その有用性の報告はない。【目的】cEBの循環評価にUA,MCA,CPRが有用であることを検討した.【対象と方法】2016-19年に胎児死亡または生後1か月以内に心臓外科治療を行ったEB11例を胎児死亡または生後24時間以内の外科治療を要したA群6例と24時間以降に外科治療要したB群5例を比較検討した.検討項目は分娩直近のMCA-PI,UA-PI,CPPと週数(GA)で補正した値(z),計測時GA,心臓/胸郭面積比 (CTAR),Celermajer index(CI),左室/右室横径比(LR),TR最大速度(TRV),左室Tei index(LT)とした. 検定はMann-Whitney U検定を用い有意水準はp<0.05とした.【結果 A群:B群(数値は平均±SD)】GA,CTAR,LRV,CI,LT,MCA-PI値とMCA-PI(z)は両群間に差は無かった.A群でUA-PI(1.5±0.2:0.78±0.03),UA-PI(z) (2.7±0.8:-0.6±0.2)は有意に高く,CPR(1.5±0.1: 2.4±0.1),CPR(z)(-1.4±0.5)は有意に低値であった.またUAPI>1をカットオフ値とすると全例生後24時間以内の外科治療が必要であった。【考察】EBの循環評価にUA-PI,CPRが有用であった。UA-PI>1の場合は重度循環不全を来しており妊娠週数に応じて早期娩出または胎児治療を検討する必要がある.