[III-PD08-6] フォンタン循環における肝腎関連
キーワード：フォンタン, 肝臓, 腎臓
フォンタン循環は肺循環を支える肺心室欠如がもたらす高い体静脈圧、低い心拍出量と軽度低酸素血症によって特徴付けられ特異的な右心不全病態である。この病態は慢性的な多臓器うっ血と低灌流がそれら臓器の機能不全に至ることがこれら患者の長期予後不良の原因と一つとされている。これら臓器の中で肝腎は各々の特有な機能に加え、それら機能障害は心血管系機能異常にも関与し循環維持にも重大な影響を及ぼし、やがて循環破綻につながることが明らかとなりつつある。右心不全に伴ううっ血腎は心腎連関症候群の中心的な病態の一つであり、体液調整を含めた腎機能に悪影響することが知られている。一方、右心不全におけるうっ血肝に伴う肝機能異常はやがて肝硬変心筋症と呼ばれる難治性な病態に関連することが知られている。フォンタン循環は右心不全の典型であり、この循環に伴う遠隔期合併症としてフォンタン循環関連肝臓病（FALD）は、心機能不全、不整脈や血栓症と並んで極めて重要な病態として認識されている。FALDの明確な定義は定まっていないが、その初期のうっ血から潜在的な線維化進行による肝硬変、更には肝臓癌など多くの病態を含むと考えられる。今回はフォンタン術後患者の病態を多臓器障害の観点、特に心肝腎連関の観点から考察したい。