[OR02-1] 大動脈弁上狭窄に対する適切な治療介入時期の検討
キーワード:大動脈弁上狭窄, Williams症候群, Doty手術
【背景】大動脈弁上狭窄はWilliams症候群に合併することの多い進行性の病態であり、時に致死的な経過を辿る。通常、圧較差が50mmHg以上で治療適応とされるが経過は症例により一様ではなく、心臓超音波検査では圧較差を過大評価してしまうことからも介入時期について悩ましい場合がある。【目的】過去の症例を解析し、大動脈弁上狭窄に対する適切な治療介入時期について検討すること。【方法】対象は当院で1984年以降に大動脈弁上狭窄と診断、管理を行った13例(男:女=6:7)である。過去の診療録から経過観察期間、合併疾患、心血管イベント(手術、死亡)の時期および内容、経過中のカテーテル検査および心臓超音波検査で評価した狭窄部の圧較差、体表面積あたりの狭窄部径について後方視的に検討した。【結果】経過観察期間は1-35(中央値12)年、Williams症候群は3例、末梢性肺動脈狭窄 9例、僧帽弁逸脱 2例の合併を認めた。冠動脈狭窄の合併はなかった。心血管イベントあり(A群) は7例(Doty 3, Myers 1, Konno 1, 介入前死亡 2)で発生時年齢は1-18(中央値5)歳であった。イベント発生前の狭窄部圧較差はカテ57±7mmHg, エコー80±5mmHgで、イベントなし(B群)と比較して有意に高かった。特に介入前死亡の2例(1歳、3歳)は直前の約1年で狭窄部圧較差の急激な上昇(Δ40-50mmHg)を認めていた。狭窄部径はA群 10.2±0.9mm/m2, B群 12.2±1.1 mm/m2であった。【結論】本検討における治療介入時期はこれまでの報告と大きな相違はなかった。但し、乳幼児期に急速な狭窄の進行を認める例が存在し、その様な症例に対して介入のタイミングを逸することのないよう緻密な経過観察が必要であると考えられた。