[OR02-4] 18トリソミーにおける閉塞性肺血管病変の早期進行についての検討
キーワード: trisomy 18, obstructive pulmonary vascular disease, pulmonary hypertension
【背景】高肺血流性心疾患を合併する18トリソミーでは、生後早期から肺高血圧(PH)が進行しやすいとされている。我々は、18トリソミーの肺小動脈中膜はPHの割に薄く、さらに肺小動脈中膜欠損などの肺組織所見も高率に合併することを報告してきた。近年、Masakiらは、同様にPHが進行しやすいとされている21トリソミーとそれ以外の群での検討で、21トリソミーにおける肺血管病変の早期進行は組織学的には証明できない、PH進行には呼吸などの肺血管病変以外の要因も関与している、と報告している(Circ J 2018)。【方法】2008年~2019年に当院で心臓手術を行った18トリソミー37人中、初回姑息術時に肺生検を施行した28人を対象に、肺組織所見のHE(Heath Edwards)分類、IPVD(the index of pulmonary vascular disease)の他、閉塞性無呼吸などの呼吸障害についても後方視的に検討し、PH進行との関連について検討を行った。【結果】男女比9:19、手術時日齢中央値36日(9~69日)、肺体血圧比術前0.92±0.14、術後0.43±0.15。HE0:1人、HE1:8人、HE2:12人、HE3:5人、分類不能2人。IPVD1.0-1.2:21人、IPVD1.3-1.7:4人、IPVD1.8-2.0:1人、分類不能:2人。肺小動脈中膜欠損4人(14.3%)、肺小動脈低形成13人(46.6%)、肺胞低形成15人(53.6%)。生検時月齢で層別化すると、HE3は月齢1以下で4人、月齢2以下で5人(19.2%)に認め、IPVD中央値は月齢1以下、月齢2以下ともに1.1(1.0-2.0)であり、これらはMasakiらの報告と比較して若干高い値であった。また、閉塞性無呼吸20人、生存退院23人、気管切開7人であり、術前肺体血圧比は肺胞低形成に弱い相関を認めた(p=0.04)。【結論】月齢3以降の症例が無いため、月齢と肺血管病変進行の検討には不十分であったが、18トリソミーでは早期から肺血管病変が進行している可能性がある。一方、肺小動脈低形成が多いことに加え、肺胞低形成の存在も早期からのPH進行に関与している可能性がある。