[OR06-3] ファロー四徴症術後症例における右室拡張能:心エコーによるドプラ解析と心臓カテーテル検査による圧解析の比較検討
キーワード:右室拡張能, ファロー四徴症術後, ドプラ
【背景】心臓カテーテル検査から得られる左室拡張能の指標には時定数(τ)、心室最小圧(Pmin)、dP/dt_minなどがあり、心エコー指標との関連性も報告されている。【目的】心エコー検査のパルスドプラ・組織ドプラ解析を利用した右室拡張能指標を心臓カテーテル検査による圧解析結果と比較・検討して有用性を検証する。【方法】当院で経過観察しているファロー四徴症心内修復術31症例(14.4±10.7歳)を対象とした。右室のE, A, e’, a’, E/A, e’/a’, E/e’及びカテーテル検査での右室最大圧・最小圧(Pmax, Pmin), dP/dt_max, dP/dt_min, τ, 右室拡張末期圧(RVEDP)を測定した。【結果】1. Eとτは正相関を認め(r=0.51, p<0.01)、2. E/e’とτとの間にも正相関を認めた(r=0.38, p=0.02)。3. E/e’とdP/dt_minには負相関(r=-0.33, p=0.04)があり、4. E/e’はPmaxとも正相関を認めた(r=0.41, p=0.01)。5. 左室拡張能において相関が認められているe’とτ、E/e’とRVEDPとの間には有意な相関はなかった。【考察】ファロー四徴症術後症例において右室圧上昇があれば、τが延長するもののdP/dt_minの低下が顕著になり、それに伴う右室拡張早期のE波が増高するためにEとτは正相関を示したと考えた。これはE/e'とτ, dP/dt_min, およびPmax との相関にも影響を与えていると考えた。左室では認められるe’とτ、E/e’とRVEDPとの間には相関がなかったことは、術後のため右室が胸壁に癒着していること、左室と異なり右室心筋線維の走行がe’による拡張能評価に適していないことが推察された。【結語】E、E/e’によるファロー四徴症術後例の右室拡張能評価についてはその病態を考察して意義を評価する必要がある。