[OR09-1] ジャンプ法とマスター法を用いた運動負荷心電図検査についての比較検討
キーワード:運動負荷心電図, ジャンプ法, マスター法
【背景】運動負荷心電図は運動時の不整脈出現や心電図変化の検出に有用な検査だが、評価には十分な心拍数増加が欠かせない。ジャンプ法は簡易な運動負荷検査でマスター法より大きな負荷が得られる可能性があるが、その有用性を論じた報告は少ない。【目的】ジャンプ法とマスター法で負荷前後の心拍数変化を比較検討する。【方法】対象は2018年1月から2019年11月までに当科でジャンプ法またはマスター法で負荷心電図を行った119例。ジャンプ法はその場跳躍を2分または3分、マスター法は二階段昇降をダブルまたはトリプルで行った。後方視的に年齢、性別、負荷前後の心拍数、基礎疾患、負荷後の心電図変化を調べ、比較検討を行った。【結果】ジャンプ法は40例(男30例)で、平均年齢8.7歳、負荷前心拍数80.0回/分、負荷後心拍数118.3回/分であった。一方マスター法は79例(男55例)で、平均年齢11.2歳、負荷前心拍数69.2回/分、負荷後心拍数98.9回/分であった。ジャンプ法はマスター法と比較し年齢が有意に低く(p<0.001)、負荷前・負荷後の心拍数と心拍増加量は有意に高かった(それぞれp<0.001, <0.001, 0.01)。年齢を9歳以下、10歳から14歳、15歳以上に分類し同様に比較を行ったところ、9歳以下と、10歳から14歳の年齢群でジャンプ法の負荷後心拍数が有意に高かった(それぞれp=0.02, 0.001)。負荷後心電図変化として、ジャンプ法ではPVC(3例)、PAC(1例)、2度AV block(1例)を、マスター法ではPVC(3例)を認めたが、自然経過で改善した。【考察】ジャンプ法はマスター法と比較しより大きな負荷が得られる可能性がある。今後、症例の蓄積、対象のランダム化、負荷方法の統一、測定法の改善を行い前向き研究につなげていきたい。