[OR18-4] 先天性心疾患患者においてObesity paradoxは存在するか?
Keywords:肥満, 心不全, 予後
肥満は様々な心血管イベントの危険因子であるが、一方で心不全患者では肥満がある方が生命予後がよいという報告もありObesity paradoxと呼ばれている。今回我々は先天性心疾患における肥満と運動耐容能および予後の関係について、従来の肥満の指標に体成分分析法で測定した指標も取り入れて検討した。【方法および結果】対象は2014年から2018年まで当科に入院し体成分分析を施行した413名。年齢中央値は 31歳(範囲12-75)で男性209名(51%)、単心室循環が165名(41%)であった。肥満の指標としてBMI、腹位、体成分分析で計測した%body fat (%BF), fat mass index (FMI), waist-hip ratio(WHR)を使用した。最初に肥満の指標と6分間歩行距離(6MWT)、peakVO2との相関を検定した。次に低値群から超高値群まで%BFで4群に分類し心不全による再入院の頻度についてKaplan meier法で比較した。peakVO2は%BF(r=-0.34)、FMI(r=-0.23)と、6MWTは%BF (r=-0.29)、FMI (r=-0.20)との間に負の相関が認められた。Kaplan meier法では心不全入院は%BF正常値群と比較して超高値群(Odds ratio(OR) 3.6)で多く、低値群、高値群では有意差はなかった。BMIで分類した群では心不全入院の頻度に有意差は認めなかった。また、BNP>100pg/mlの患者においても%BF超高値群(OR 2.7)で心不全入院が有意に多かった。【結論】%BFとFMIは運動耐容能の低下に相関し、%BF超高値群は心不全による再入院率が高いため、肥満の改善が効果的である可能性がある。Obesity paradoxは今回の検討では認められなかった。