[OR25-1] Diamond-like carbon成膜技術を応用したePTFE人工血管の血液適合性評価~先天性心疾患術後の合併症軽減を目指して~
キーワード:Diamond-like carbon, 人工血管, 血液適合性
【目的】先天性心疾患手術に使われる人工血管の血液適合性向上を目指して、Diamond-like carbon (DLC)成膜による性状変化を検証した。【方法】我々が独自に開発したDLC管腔内成膜法(特許取得)により、内径5mmのePTFE人工血管に対してDLC成膜を行った(DLC群)。通常のePTFE人工血管(control群)と物性試験(ラマン分光法、走査型電子顕微鏡、表面平滑性定量評価、水接触角試験)およびvitro試験(タンパク吸着、ヒト調整血小板液接触試験)による血液適合性を比較した。【結果】物性試験のラマン分光法にて、成膜によるDLC特有のスペクトルを確認した。走査型電子顕微鏡ではcontrol群と比べてDLC群の表面平滑化が視覚的に確認でき、表面ピクセル値分布のノイズ除去法による表面平滑性の定量比較においてもDLC群は有意な平滑性を有していた。水接触角試験(5点平均)はそれぞれ132度、98度でありDLC群で有意に親水性が高かった。一方のvitro試験では、タンパク吸着においてDLC群はcontrol群に比べて有意にアルブミン吸着量が多く、フィブリノーゲン吸着量は少なかった。さらに、ヒト調整血小板液接触試験では、単位面積あたりの血小板付着量はDLC群で有意に少なかった。【結論】DLC成膜を施したePTFE人工血管は、親水性および平滑性が増し、タンパク吸着能および血小板吸着抑制などの血液適合性向上を示唆する所見が得られた。