The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(I)28(OR28)
外科治療3

指定討論者:小沼 武司(三重大学医学部大学院医学系研究科 胸部心臓血管外科)
指定討論者:櫻井 一(中京病院 心臓血管外科)

[OR28-3] BTシャントとの比較から考えるpalliative Rastelli手術の有用性

藤田 周平1, 山岸 正明1, 前田 吉宣1, 板谷 慶一2, 本宮 久之1, 中辻 拡興1, 夜久 均2 (1.京都府立医科大学小児医療センター 小児心臓血管外科, 2.京都府立医科大学附属病院 心臓血管外科)

Keywords:右室流出路再建, ラステリ型手術, Blalock-Taussigシャント

【背景】Rastelli型手術を要する疾患群において右室肺動脈シャントはHLHSなど単心室のそれと比べ右室切開による弊害は比較的問題になりにくいが、肺血管床の発育という点でBTシャント(BT)との優劣に議論の余地がある。当院でのpalliative Rastelli手術(pR)の成績について検討した。【方法と対象】2009年から2019年に弁付きePTFE導管を用いたpRを受けた症例のうちMAPCA症例やBT併用を除外したものをpR群、対照として同時期に人工心肺補助下にBTを受け、右室-肺動脈の血流のない症例をBT群とした。両群とも二心室修復を目指し、pR群は10例、BT群は15例であった。【結果】性別や月齢、体重は両群で有意差なし。原疾患はpR群がFallot四徴症または心室中隔欠損・肺動脈閉鎖症(TF/PAVSD) 4例、大動脈縮窄/離断症(CoA/IAA) 3例、総動脈幹症(PTA) 3例に対し、BT群ではTF/PAVSD 14例、PTA 1例と両群間に差異あり。30日死亡(0 vs 6.7%, p=0.41)、心肺蘇生イベント(0 vs 20%, p=0.13)、待機中死亡率(20 vs 33%, p=0.47)は有意差は無いがいずれもBT群で高い傾向にあり。退院時SpO2はpR群89±5%、BT群82±4%とpR群が有意に高値であった(p=0.001)。平均観察期間41ヶ月でpR群はRastelli到達5例、待機3例。BT群はRastelli到達10例。Rastelli前のカテーテル検査ではRVEDVI (58±7 vs 62±12 ml/m2, p=0.45)、RVEF (57±6 vs 58±5%, p=0.53)は両群間に有意差なし。SaO2 (84±9 vs 79±6%, p=0.15)、Qp/Qs (0.9±0.6 vs 1.1±0.4, p=0.55)も両群に差を認めず。PA indexはpR群 237±134 mm2/m2、BT群548±252 mm2/m2とBT群で有意に大きかった(p=0.006)。【結語】弁付き導管によるpRは安定した肺血流と血行動態をもたらし術後急性期および待機中生存率を改善させる一方、肺血管床の発育においてはBTに劣っていた。低心機能や肺高血圧例にpR、肺動脈低発育例にBTなど適応を選ぶことで両者の利点を生かした治療戦略が立てられると考えられた。