[OR29-3] 機能的単心室に対するBTシャントと早期肺動脈形成術の有用性
キーワード:機能的単心室, BTシャント, 肺動脈形成
【背景】機能的単心室(SV)に対する初回姑息手術としてのBTシャント手術(BTS)はその後の肺動脈の発育や心室機能を左右する手術であり, そのタイミングやアプローチ, 肺動脈形成術の併施などの戦略が重要である.【目的】SVに対するBTSにおいて初期の肺動脈形成術の有用性について検討すること. 【対象】1996年以降に初回手術としてBTS(Norwood,DKSに伴うものを除く)を行ったSV症例で初回手術より1年以上経過した38例を対象とした.手術時日齢中央値30日,平均体重3506g,男児20女児14. 診断はSRV15例, PA/IVS8例, DORV7例, TA2例,CCTGA2例,TOF/AVSD2例,SLV1例,TGA(III)1例でAsplenia10例Polysplenia1例を含む.肺動脈閉鎖27例肺動脈狭窄11例.肺動脈形成を必要とする末梢性肺動脈狭窄を有するもの18例.初回手術でBTSのみを行ったものは29例(BT群),初回手術で肺動脈形成を同時に行ったもの9例(PP群)として比較検討を行った.【結果】初回手術日齢はBT群68.9±113日,PP群34.1±21.4日とPP群で有意に低かった.使用グラフトサイズはBT群3.56±0.4mm,PP3.67±0.4mmと有意差なし.手術後入院死亡はBT群3例31.0%でいずれもAspleniaで2例はTAPVCを合併,PP群1例11.1%であった. Glenn手術前のカテデータではBT群vsPP群でQp/Qs1.09±0.61 vs 1.09±0.21, SaO2 75.9±6.4 vs 76.1±2.2%, PAindex 341.3±137 vs 313.3±107.5, Rp 1.72±0.8 vs 1.83±0.9unit・m2と群間に差はなくいずれも良好であった. 初回手術後急性期にHighFlowで管理に難渋した症例はBT群8例27.6%, PP群7例77.8%とPP群に有意に多かったが, 手術死亡はBT群3例(10.3%),PP群1例(11.1%)と有意差はなかった(BT群の死亡はいずれもAsplenia). 早期死亡を除いたFontan到達率はBT群88.5%,PP群87.5%といずれも良好であった. 【考察】SV症例に対するBTS±PAplastyの手術成績は良好であり必要な症例においてはPAplastyを初回手術で行うことは適切であることが示唆された.