[P05-2] 肺静脈の心房への侵入角度と肺静脈狭窄についての検討
キーワード:肺静脈狭窄, 総肺静脈還流異常, 角度
【背景】肺静脈狭窄(以下PVS)は依然として治療法が難しく、原因も判明していない。一方肺静脈の心房への侵入角度はPVSと関連の報告はない。【目的】肺静脈の侵入角度と肺静脈狭窄の関係について検討する。【方法】2009-2019年までに治療した総肺静脈還流異常(以下TAPVC)術後の肺静脈の心房への侵入角度(脊椎を基準に水平方向を0度として測定)と狭窄/閉塞の有無を比較し後方視的に検討。角度はTAPVC術後最初のCTの前額断もしくはカテーテル検査の正面像にて測定。【結果】TAPVCと診断したのは66例、うち単心室症例24例。PVSを認めた群(S群)と認めなかった群(N群)を比較すると、術前のPVSは58%,46%であり、TAPVC修復時の日齢7.5(0-87), 18(0-268)、体重2.8(2.1-3.8)kg, 3.2(2.1-6.1)kgであった。S群とN群の術後の角度は、右上肺静脈:35(10-70)度、20(0-65)度、右下肺静脈:25(0-60)度、15(0-50)度、左上肺静脈:20(0-70)度、20(0-75)度、左下肺静脈:24(15-60)度、18(0-55)度。2群間で左肺静脈に関しては差を認めないものの、右上と右下肺静脈はそれぞれP値0.02、0.07であり有意差はないもののPVS症例の方が角度は大きい傾向があった。また二心室修復のみで同様の検討を行ったところ、P値は右上0.016、右下0.19と同様の傾向であった。【考察/結論】今回検討した結果、肺静脈の侵入角度は特に右肺静脈においてPVS症例で大きくなる傾向があった。そのような結果となった原因についてはさらなる検討が必要ではあるが、PVS治療に肺静脈のtranslocation等も有用な治療になる可能性がある。またカテーテル治療を行う際にも肺静脈の角度が大きいためにバルーンの挿入が困難となる症例もしばしば存在し角度が浅い症例の方がPVS後の治療も容易になると考えられる。術後のPVS発生リスクが高い症例においては肺静脈の角度にも留意してもいいのではないかと考える。