[P07-3] 日齢1に三尖弁形成術を施行した新生児マルファン症候群の1例
キーワード:新生児マルファン症候群, nMFS, 三尖弁形成術
【背景】新生児マルファン症候群(neonatal Marfan syndrome : nMFS)はFBN1遺伝子を責任遺伝子とし,重篤な心肺機能不全のため予後不良な症候群である.今回,出生直後より高度の三尖弁逆流のためcircular shuntとなり日齢1に三尖弁形成術を施行することで救命し得た症例を経験した.【症例】在胎41週2日,体重3634 gで出生した女児.胎児エコーで異常の指摘はなかった.出生後,全身性チアノーゼが遷延し先天性心疾患を疑われ日齢0に当院へ搬送となった.入院時,多呼吸で,全身性チアノーゼを認めた.顔貌は,ほりが深く,眼球陥没,眼裂斜下,長い人中,両口角斜下,薄い上口唇を認め,老人様顔貌を呈しており,高口蓋も認めた.耳介は大きくて薄かった.呼吸音は清で,心音はIII/VIの収縮期雑音を聴取した.腹部は軽度肝脾腫を呈し,四肢では,膝・肘関節の軽度拘縮を認め,扁平足で指趾はクモ状指を呈していた.心臓超音波検査では三尖弁が異形成であり,高度の三尖弁逆流および肺動脈弁逆流を認めた.右房化右室などEbstein病の所見は認めなかった.順行性の肺動脈血流はほぼ観察されず肺血流を動脈管に依存したcircular shuntと診断し,lipo-PGE1持続投与,カテコラミン投与,気管挿管,深鎮静で管理とした.日齢1の評価では右室容量は十分であり,三尖弁逆流最大速度は3.1 m/秒で右室は前方への血液駆出が可能と判断し二心室型修復の方針とした.三尖弁形成術+心房中隔欠損閉鎖術+動脈管結紮術施行し,術後は一酸化窒素ガスを使用し循環は成立.術後4日目に抜管,術後8日目にNICU転棟となった.その後,大動脈弁輪拡張傾向がみられACE-I内服の上,日齢59に退院となった.入院中に施行した遺伝子検査にてFBN1遺伝子のexon 25にミスセンス変異が同定された.【考察】nMFSは稀な疾患で予後不良な疾患であるが早期診断・早期手術介入により予後を改善できる可能性がある.