[P10-1] Dual Gate Dopplerを用いた肝静脈-下行大動脈血流波形による胎児不整脈評価の有用性と限界:当院での10年間の経験から
キーワード:胎児不整脈, Dual Gate Doppler, 肝静脈
胎児不整脈の評価は主にM mode法やパルドプラ法(上大静脈-上行大動脈)が用いられるが、欠点も指摘されている。我々は2010年より2カ所の血流が同時に測定できるDual Gate Dopplerを用いて、肝静脈と下行大動脈の血流計測(HV-DAo法)による胎児不整脈の評価を行っておりその経験を報告する。
【方法】2010年から2019年に当院で評価した胎児不整脈59例を対象とし、胎児診断について後方視的に検討した。HV-DAo法は、腹部横断像で肝静脈と下行大動脈にそれぞれサンプルゲートを置いて血流波形を同時に記録し、肝静脈よりa波(心房収縮)を、下行大動脈よりV波(心室収縮)を同定した。当院では原則として胎児不整脈評価にはHV-DAo法とM mode法の双方を行っている。
【成績】59例の検査施行妊娠週数は平均31.4週(16~39週)であった。2例は胎児の呼吸様運動のため記録できず再検査されていたが、残りの57例は当日HV-DAo法が記録できていた。M mode法で記録され評価可能であったのは52例であった。出生後に心電図で不整脈が確認されたのは15例であった。
HV-DAo法による胎児診断の内訳は、期外収縮45例(心房性(APC)36例 心室性(VPC)9例)、上室性頻拍1例、完全房室ブロック3例、2:1房室ブロック3例であった。HV-DAo法単独では診断が難しい症例は8例(APC連発2例、APC3段にblockを伴った2例、心房粗動1例、VPC1例)認めた。これら8例はM modeなどの所見を加味して総合的に診断が可能であった。HV-DAo法では診断が困難であった理由は、異常な心房収縮が頻回に起こった際のA波の同定が難しいこと、非常に早期のVPCではV波を形成しないことが考えられた。最終的な胎児診断と出生後の診断が異なったものはなかった。
【結論】HV-DAo法により胎児不整脈の評価は可能であり、他の方法より比較的簡便に行えることが推察された。一方で血流波形と実際の心房・心室収縮が必ずしも一致しないことがあることを念頭におく必要がある。。
【方法】2010年から2019年に当院で評価した胎児不整脈59例を対象とし、胎児診断について後方視的に検討した。HV-DAo法は、腹部横断像で肝静脈と下行大動脈にそれぞれサンプルゲートを置いて血流波形を同時に記録し、肝静脈よりa波(心房収縮)を、下行大動脈よりV波(心室収縮)を同定した。当院では原則として胎児不整脈評価にはHV-DAo法とM mode法の双方を行っている。
【成績】59例の検査施行妊娠週数は平均31.4週(16~39週)であった。2例は胎児の呼吸様運動のため記録できず再検査されていたが、残りの57例は当日HV-DAo法が記録できていた。M mode法で記録され評価可能であったのは52例であった。出生後に心電図で不整脈が確認されたのは15例であった。
HV-DAo法による胎児診断の内訳は、期外収縮45例(心房性(APC)36例 心室性(VPC)9例)、上室性頻拍1例、完全房室ブロック3例、2:1房室ブロック3例であった。HV-DAo法単独では診断が難しい症例は8例(APC連発2例、APC3段にblockを伴った2例、心房粗動1例、VPC1例)認めた。これら8例はM modeなどの所見を加味して総合的に診断が可能であった。HV-DAo法では診断が困難であった理由は、異常な心房収縮が頻回に起こった際のA波の同定が難しいこと、非常に早期のVPCではV波を形成しないことが考えられた。最終的な胎児診断と出生後の診断が異なったものはなかった。
【結論】HV-DAo法により胎児不整脈の評価は可能であり、他の方法より比較的簡便に行えることが推察された。一方で血流波形と実際の心房・心室収縮が必ずしも一致しないことがあることを念頭におく必要がある。。