[P12-5] 肺動脈内隔壁作成術を施行した右心バイパス術の2症例
キーワード:肺動脈内隔壁作成術, 右心バイパス術, 肺動脈狭窄
【はじめに】右心バイパス手術段階において, 何らかの理由で肺動脈狭窄が存在することは稀ではなく, 肺血流・肺血管抵抗の左右差を生じることがある. 当院にて左右差が高度であったために右心バイパス術の成立が困難と考えられた2症例に対し肺動脈内隔壁作成術を施行し, 肺条件を整える事ができた. 【症例1】三尖弁閉鎖 Ib. 在胎35週,体重943gで出生. 右室流出路狭窄が進行し日齢23にclassical BTSを造設. 1歳10ヶ月でBTS吻合部の狭窄のためcentral shuntと左肺動脈形成を施行. しかし左肺動脈狭窄は高度に残存し左肺動脈は低形成な状態が持続していたため, 3歳3ヶ月時に肺動脈内隔壁作成をし右肺にGlenn手術, 左肺へはBT shuntを造設した. 4歳2ヶ月時に残存する左肺動脈狭窄に対し複数回のPTAを経て, 6歳でTCPC術(fenestrationあり)に到達でき, 術後良好な循環が保たれている. 【症例2】 左心低形成症候群(MS・AS). 在胎37週, 体重 2220gで出生. 低酸素療法を行い, 日齢3に両側肺動脈絞扼術を施行. 3ヶ月でNoorwood, Glenn手術を施行したが, 新大動脈弓に左肺動脈が圧排され酸素化が保てなくなり, 右肺はGlenn循環を維持したまま肺動脈内隔壁作成をし左肺へBT shuntを造設した. 三尖弁逆流の悪化のため心不全治療を強化し, 5ヶ月時に大動脈吻合部狭窄に対しPTAを施行した. この際の造影検査では左肺動脈の成長を認め8ヶ月で肺動脈内隔壁とBT shuntをtake downし三尖弁形成術を施行した. 三尖弁逆流は軽減し, 良好なGlenn循環を維持できており現在TCPC待機中である. 【結語】末梢肺動脈狭窄のため, 心バイパス術到達が困難と考えられた症例に対する中間手術として肺動脈内隔壁作成術が有効であった. しかし術後もPTAなどの治療介入を要し, 慎重に経過を見る必要がある.