[P17-1] 成人先天性心疾患患者の心臓MRI検査における心筋性状評価 遅延造影とT1 mappingとの差異をどう解釈するか
キーワード:遅延造影, T1 mapping, 成人先天性心疾患
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者の心臓MRI検査(CMR)での遅延造影(LE)、T1 mapping(T1M)はともに心筋の性状評価が可能な撮像法として広く認知されているが、結果に差異が生じ解釈に齟齬が生じる場合がある。【目的】CMRでLEとT1Mで心筋性状評価の結果に差異が生じた要因を検討する。【対象・方法】CMRでLEとT1Mを同一検査内に行ったACHD患者7名を対象とした。撮像機器:Canon Vantage GalanTM 3T遅延造影はガドビスト®0.1ml/kg注入を使用。投与10分後にLE撮像、T1Mはmodified Look-Locker inversion recovery法で撮像した。【結果】7例中3症例にLEとT1Mの結果に差異が生じていた。症例1: 27歳女性、ファロー四徴症術後。LE陽性となった部位はなかったがT1Mでは両心室壁で軽度の上昇があり軽微な線維化が疑われた。LE撮像の際の呼吸により差異が生じたと考えられた。症例2 : 41歳男性、両大血管右室起始症、Glenn術後 両心室壁にびまん性のLE陽性所見、T1値上昇を認めたが一致する部分は少なかった。腹水、胸骨ワイヤーによるアーチファクトが差異の原因と考えられた。症例3: 36歳女性、多脾症候群、房室中隔欠損症、総肺静脈還流異常症、肺高血圧 LEは心室壁に不均一な陽性所見認め、T1値も軽度上昇していたが不一致となる部分も多かった。呼吸止めが十分にできないために生じたアーチファクトにより差異が生じたと考えられた。【考案】LE, T1Mともに心筋性状評価に有用な検査であるがアーチファクトなどの影響を受けやすい。解釈には注意を要する。