[P20-1] 高圧右室がFontan術後の体心室左室に及ぼす影響
キーワード:Fontan術後, 心機能, スペックル
【背景】純型肺動脈閉鎖(PAIVS)や重症肺動脈弁狭窄(cPS)症例がFontan手術まで到達したとき、低形成右室が高圧の状態で残存する場合がある。Fontan術後遠隔期において、高圧右室が主心室である左室の収縮拡張に及ぼす影響については十分知られていない。
【目的】高圧右室が体心室左室の収縮拡張に及ぼす影響について、心エコー・カテーテル・MRI等を使用して明らかにすること。
【方法】対象は2020年1月現在の時点でcritical PSまたはPAIVSのFontan術後のうち高圧右室を有する症例8例(A群)(平均年齢13.5才、観察期間10.3年)。コントロール群は等圧右室を有する三尖弁閉鎖(TA)のFontan術後6症例(B群) (平均年齢18.3才、観察期間15.1年)。 計測項目は Fontan術後の遠隔期の心エコーによりE/E’, GLS, Segmental LS, strain rate, GCS、 torsionを求め、MRIでLVEDVI, LVESVI, Qs, LVEF、心カテーテルでQs, Rp, CVP, LAP, LVEF, LVEDVを求めた。 心エコーで計測したSegmental Longitudinal Strainは左室を6つのSegmentに分割して評価した。両群の比較にはMann-Whitney U testを使用した。
【結果】SLSのうち中隔側の2segmentでは、A群vsB群が-6.3±4.9 vs -15.6±2.4(p=0.015)、-12.8±3.8 vs -20±3.1(p=0.014)とA群の方が有意に低下していた。GLS strain rateについては,拡張早期で1.2±0.33 vs 2.2±0.87(p=0.029)と,A群で有意に低下していた.そのほかのtorsionを含む心エコー指標およびカテーテル・MRI指標ではA群とB群間で有意差はなかった。
【考察】Fontan術後遠隔期においては、高圧右室は体心室左室の心室中隔の局所的なsystolic strainと拡張早期のstrain rateは低下させるが、体心室左室の全体の収縮拡張機能には大きな影響を与えていなかった。
【結語】高圧右室があっても、Fontan術後遠隔期の体心室全体の左室機能は維持される。
【目的】高圧右室が体心室左室の収縮拡張に及ぼす影響について、心エコー・カテーテル・MRI等を使用して明らかにすること。
【方法】対象は2020年1月現在の時点でcritical PSまたはPAIVSのFontan術後のうち高圧右室を有する症例8例(A群)(平均年齢13.5才、観察期間10.3年)。コントロール群は等圧右室を有する三尖弁閉鎖(TA)のFontan術後6症例(B群) (平均年齢18.3才、観察期間15.1年)。 計測項目は Fontan術後の遠隔期の心エコーによりE/E’, GLS, Segmental LS, strain rate, GCS、 torsionを求め、MRIでLVEDVI, LVESVI, Qs, LVEF、心カテーテルでQs, Rp, CVP, LAP, LVEF, LVEDVを求めた。 心エコーで計測したSegmental Longitudinal Strainは左室を6つのSegmentに分割して評価した。両群の比較にはMann-Whitney U testを使用した。
【結果】SLSのうち中隔側の2segmentでは、A群vsB群が-6.3±4.9 vs -15.6±2.4(p=0.015)、-12.8±3.8 vs -20±3.1(p=0.014)とA群の方が有意に低下していた。GLS strain rateについては,拡張早期で1.2±0.33 vs 2.2±0.87(p=0.029)と,A群で有意に低下していた.そのほかのtorsionを含む心エコー指標およびカテーテル・MRI指標ではA群とB群間で有意差はなかった。
【考察】Fontan術後遠隔期においては、高圧右室は体心室左室の心室中隔の局所的なsystolic strainと拡張早期のstrain rateは低下させるが、体心室左室の全体の収縮拡張機能には大きな影響を与えていなかった。
【結語】高圧右室があっても、Fontan術後遠隔期の体心室全体の左室機能は維持される。