The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラル(II)21(P21)
カテーテル治療1

指定討論者:赤木 禎治(岡山大学医学部・歯学部附属病院 循環器内科)

[P21-5] 二心室修復術後遠隔期に診断された心房中隔下壁側遺残短絡に対する治療選択―周辺組織の画像評価の重要性―

大橋 啓之1, 坪谷 尚季1, 大矢 和伸1, 淀谷 典子1, 澤田 博文1, 早川 豪俊1, 石川 廉太2, 山崎 誉斗2, 夫津木 綾乃2, 小沼 武司2, 三谷 義英1 (1.三重大学大学院医学系研究科 小児科学, 2.三重大学大学院医学系研究科 胸部心臓血管外科学)

Keywords:術後短絡, カテーテル閉鎖, 画像診断

【背景】近年,先天性心疾患の治療予後は改善しているが,遠隔期に再介入を必要とする症例がある.心房間遺残短絡は小さい左右シャントであれば治療対象にはならないが,右左シャントであれば,チアノーゼ,奇異性塞栓を来すため治療対象となることがある.【症例1】8歳,女.5歳時に下縁欠損心房中隔欠損(ASD)に対してDirect closureを施行.術後の胸壁エコーでLA内異常血流を指摘していた.7歳時,感冒時のチアノーゼを認め,MRIにて心房中隔下壁側の遺残短絡を確定診断した.IVC-RA間に狭窄も認めたため外科的修復術を適応した.【症例2】20歳,男.2歳時にASD patch closureを施行.術直後には遺残短絡は指摘できず.19歳時に脳梗塞発症し,経食道エコーにて遺残短絡を診断した.心腔内エコー(ICE)にて短絡は下壁のパッチsuture lineにあり,inferior rim欠損ASD類似形態であった.下壁以外の中隔組織に問題なく7mmのAmplatzer septal occluder(ASO)で閉鎖可能であった.【症例2】28歳,女.1歳時に完全大血管転位に対してMustard手術を施行.18歳時のカテーテルアブレーション時にMustardパッチのリークを指摘.当初はSpO2=91%であったが経時的に低下傾向となり閉鎖適応とした.ICEにて短絡はパッチのIVC開口部に近いRA側壁部に3箇所認めた.頭側の短絡はパッチsuture lineにあり,1方向rim欠損ASD類似形態であった.他の短絡は周囲中隔に問題なかった.7mmのASO2個で閉鎖可能であった.【結語】中隔下壁の遺残短絡は,術直後の胸壁エコー検出率が低く,遠隔期のチアノーゼ,脳梗塞を契機に診断されていた.中隔下壁の遺残短絡は遠隔期に右左シャントになりやすいため,ICE含めた各種画像検査により周囲組織の評価を行い,カテーテル閉鎖や外科手術の適応を決定するべきである.